第98話 朝食
成田さんのお家のバスルームは新しく綺麗で、朝から気持ちよく過ごすことができました。洗面スペースも広く使いやすく、ここに住み着いてしまいたいと心をよぎりました。
身支度を済ませて部屋へ戻ると、焼きたてのパンの香りに心がときめきました。キッチンのそばに小ぶりなダイニングスペースがあり、ミネストローネ風のスープと、目玉焼きとウィンナーの焼いたものがありました。いくつかの小さな丸いパンと、ジャムやヨーグルトも並べられていました。感激しすぎてしまいました。
「・・とても、素敵な朝食ですね。こんなに用意していただいて・・・」
自宅の朝食と比べて素晴らしすぎました。私は朝が弱いのでほとんど食べなかったり、牛乳を飲むだけだったり、ヨーグルトのみで済ませてしまうようなことが多いのでした。
「普段はもっと簡単だよ。自分だけだとシリアルで済ませたりね。でも今日はゆりかがいるから、昨夜のうちに下ごしらえをしておいた。」
一体何が起きているのかと再び衝撃をうけました。そんな男性がこの世にいたのでしょうか?こんな世界があったなんて、未知の領域でした。
「そうなんですか・・・すごく嬉しいです。このパンも本当にいい匂い・・・白くて丸くて可愛くて、おいしそう。」
さすがに成田さんともなると、朝から素敵なものを食しているのだと感心しました。
「それ、私が作ったんだよ。昨日のうちに生地を練っておいて、朝は形を作って焼くだけ。簡単だよ。」
てっきりあらかじめ買いおきしたものをトースターで温めたのかと思っていました。
「成田さん、パンも作れるんですか?市販のじゃないんですか?」
パンを作るなんて、自分にとっては普通のことではありませんでした。そんなに簡単ではないはずだと思いました。
「いや、粉練って焼くだけだし・・・発酵時間も適当だけど、見た目はまあまあだよね。」
優雅に微笑むセクシーな男性を前にして、きっと、まだここは夢の中かもしれないと思わずにいられませんでした。
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