第91話 二次会
この夜は、とても良い時間を過ごせました。お店のお料理も美味しくてワインをたくさん飲んでしまいました。オーナーさんがサービスの裏メニューをふるまって下さり、成田さんが私のことを紹介してくれました。英語のレッスンについても話してくれました。
「早くそういうオファーが来ないかと待っていたんですよ。チラシなどがあれば店に置きますし、いつでもお持ちになって下さい。」
オーナーさんはとても歓迎してくれて、嬉しくなりました。気さくでお話しやすい方で、良い印象を抱きました。親切に言葉をかけて頂き、やはり知人のつてがあるのは有難いことでした。お料理もおいしく、すっかりこのカフェを好きになりました。
成田さんとの話も弾みました。会社でのレッスンの話もしましたが、他にもパリで過ごした時間のことや、ジム仲間のこと、彼のお仕事や社員さんの話、私の仕事についてなど、いろいろ話題は尽きませんでした。
気付けば閉店の時間になっていました。成田さんは席をはずし、お会計を済ませていたようでした。帰ろうと思っていると、成田さんとオーナーさんが一緒に来ました。ワインのボトルとおつまみの盛り合わせを出していただき、オーナーさんも席についてまた飲み始めるようでした。
「吉村さん、いつも悪いね。今日は早く帰ろうと思ってたのに。」
成田さんは常連のようで、オーナーさんにも好かれている様子でした。
「そんなの成田さんらしくないですよ。ゆりか先生、でしたっけ?成田さんが来ると、いつもこういう感じなんです。二次会も楽しんで下さいね。」
オーナーの吉村さんはにこやかにワインをすすめてくれました。
「えっ、成田さん、そんなことしていいんですか?オーナーさんも、居座っちゃって困ったお客さんならちゃんと言わなくて大丈夫ですか?」
少し驚いて確認しましたがふたりとも笑っていました。
「あはは、そんなことないですよ。こっちも楽しみにしているので。ゆりか先生もお酒強いですね。いいワインありますからいっぱい飲んで下さい。店のおごりです。」
どうやら吉村さんもご機嫌で、楽しそうに見えました。
「成田さん、すごいですね。いいんですか・・・?お店、赤字になっちゃうんじゃないですか?」
吉村さんは朗らかで親切でしたが、きっと儲かっていないのではと思いました。
「どうだろうね。ゆりかも通ってもらわないと。それだとまた吉村さん飲んじゃいそうだね。まずいかな。」
そう言いつつも、成田さんは吉村さんのグラスにお酒を注ぎました。
「大丈夫ですよ。成田さんも飲んで下さい。ゆりか先生も、これからもよろしくお願いします。」
吉村さんは私達のグラスにもワインを注いでくれました。それからグラスを持って、乾杯のポーズをされたので皆で乾杯しました。
オーナーの吉村さんは何店舗かの飲食店を経営しているらしく、成田さんとは別のお店の頃からお付き合いがあったそうです。こちらの新しい店舗の物件探しも成田さんが関わっていたとのことでした。
吉村さんが加わるとまたお話も盛り上がり、楽しい時間になりました。すすめられたワインも美味しく、つい飲みすぎてしまいました。
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