第85話 次回予告
「今日はゆりかさんが来てくれて楽しかった。ナミちゃんや他の仲間もいるんだけど、女の人がいた方がおしゃべりできるし。ゆりかさんも不動産を買う予定なんですか?」
アヤちゃんに尋ねられました。この日はいろいろ勉強になりましたが、実際の家を見せてもらった感想としては、やはり自分にはハードルが高いということでした。
ローンを組まず、格安で売られている家を現金で買うという発想は斬新でしたが、どんなに価格が安かったとしても、あのような年季の入った家をどうにかするのは並大抵のことではありませんでした。掃除をしたり壁紙をはがしたり、その程度のお手伝いはできたとしても、煙突を直すのは無理ですし、私にはわかりかねる部分が無数にあるに違いないのでした。
「ゆりかさん、また来れそうかな?うちはしばらくあの家でやってるから、気が向いたらぜひね。」
アヤちゃんが声をかけてくれましたが、また行くことがあるだろうかと思いました。自分で物件を買うのは難しく思われますし、あのような家を購入しても手に余るに違いないのです。なのにできればまた、アヤちゃんや鈴さんのご一家とは会いたい気がして曖昧な返事をしました。
「ナミさんに聞いてみて、また一緒にうかがえる日があったらお邪魔するかもです。休みのスケジュールも確認しますね。」
本当に再び行くかどうかは自信がありませんでしたが、そう伝えました。
「わぁ、良かった!ゆりかさんもいたら楽しくなるな。今度は壁紙を貼るし、盛り上がるよ~!」
アヤちゃんは声を弾ませ嬉しそうに言いました。
「壁紙って、もしかしてアヤちゃんが貼るんですか?」
まさかと思いつつ尋ねるとアヤちゃんは普通のことのように言いました。
「もちろん。むしろ簡単な作業だし、誰でもできるよ~。」
彼女は笑いましたが、そんなお手軽な仕事でもないだろうと思いました。普通は業者に頼むイメージでした。
「私、壁紙貼るの楽しくて。時々やらないと物足りないのね。色や柄を選ぶのも楽しいし、仲間の家もやるよ。うちも在庫の家がたまってるし、ナミちゃんもいくつか抱えてるし。貼る家はいくらでもあるからね。」
在庫の家とは、どういうことかと思いました。時々アヤちゃんや鈴さん、ナミさんの話すことは意味がよくわかりませんでした。
「そんなに、みなさんお家がたまっているんですか?ああいうお家が他にもあるんですか?」
いぶかしく思いつつも尋ねてみました。家が在庫とは、おかしな表現だと思いました。
「うん、みんな2、3軒ずつかな?1軒やるのも大変なのにね~・・・でも自分のとこの物件に飽きたら、気分転換に他の人の家に行ってやるのもいいんだよね。みんな古くて汚い家だから、子どもたちを連れて行くのも気兼ねがないしね。」
いろいろ謎めいた発言でしたが、アヤちゃんは明るくて話していて楽しい方でした。そして壁紙を貼るとはどんなものか、興味を惹かれました。
「あの家もいまは荒んでるけど、壁紙始めるとキレイになるから楽しみだよ。古民家リフォーム楽しいよ!」
確かに壁紙をはがした状態なので、壁が新しくなったらどんなものかと気になりました。アヤちゃんが楽しそうなので、私もやはりまた行ってみようかと考え始めていました。
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