第34話 ときめき
成田さんが、私に興味などあるはずないと思う反面、あのお食事会の日以来、彼はとても優しく接してくれました。
いただいた名刺のメールアドレスへ食事のお礼のメッセージを送りましたが、すぐに感じの良いお返事をくれました。他にも何かと、おすすめのお食事スポットや、パリで訪れるべき場所のURLを送ってくれました。
なぜだか、スポーツクラブへ出向く日程も教えてくれて、一緒の時間帯はどうかとも誘われていました。
私はどきどきして嬉しくなる半面、でもおそらく成田さんは結婚しているだろうという思いが拭えませんでした。あるいは、どんな女性にも親切でそつがないとか、自分以外にいくらでも仲の良い女性がいるに違いないとか、ついネガティブに考えてしまいがちでした。
なぜもっと早く、成田さんが結婚しているかどうかを確認しておかなかったのか。話の流れでさりげなくチェックする機会はあったはずなのに、と思い返しました。
でもまだ、知りたくない・・・
結局私は、彼が既婚者であるとわかってしまうのが気が進まず、確認しないままでした。
あの人が、結婚していたなら・・・
絶対、だめだと思いました。どんなに魅力的であろうと、須藤の二の舞はごめんでした。私はあんなにボロボロになって、やっと生き返ったばかりだというのに。
そもそも、結婚していて独身女性にあれこれ働きかけるような男性には近づかないに越したことはありません。
でも、もしかすると、独身かもしれないし・・・
だけど年齢的には?あの年頃で独身というのは、ありえなくもないですが、それなりに難しいところがありそうだとも思えました。
彼のことを気になってはいましたが、必要以上に親しくなるのはやめておこうと思いました。いろいろありましたから、私はやはり男性に対して距離をおきたい気持ちでした。
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