第21話 不用の品
「・・・じゃあ、ほんとにこれ頼んじゃっていいのかな?」
ランチの後、自宅に戻って沙也とお茶を飲みました。昨夜片付けをして、リサイクルショップにでも売りに行こうかと考えていた不用品は、沙也がネットで売りさばいてくれるとの事でした。
「うん、私も家の不用品売りまくってて、けっこう良いお金になるんだよ。リサイクルショップよりも割がいいと思うから、一緒にやっておくね。」
「沙也も忙しいのに、マメだね・・・」
「大丈夫よ。ちゃんと手数料もらうから。」
「いや・・・手数料と言わず、売れたら沙也のお小遣いにしちゃってよ。引き取ってくれるだけで有難いし。」
不用品の中には沢山のもらい物や、自分で買ったものの活用せずにいた新しいものや、須藤からのプレゼントもいろいろありました。早く処分したい気持ちもありましたが、ただ捨てるには心が痛みました。どこかで誰かに気に入って使ってもらえるなら、モノが報われるような気がしました。
「そんなのダメだってば。優理香だって失業中なんだから、ちゃんと節約しなくちゃ。売れたら少しは生活の足しになるでしょう。でもまた今度、今日のお店のランチはご馳走してもらおうかな。全部売れたらまあまあな金額になりそうだし。」
沙也が私のおすすめのお店を気に入った様子なので、嬉しくなりました。
「沙也、すごいね・・・しっかりしてるし、生活力あるよね。いいお嫁さんしてるんだね・・・」
まだ子供も小さく、手のかかる時期と思いますが、家にいる時間でできることに取り組む沙也が眩しく映りました。
「いや、こんな事ばっかりだよ。私もまた仕事もしたいと思ってるけど、なかなかね・・・だから自立して頑張ってる優理香、偉いよ・・・英語の仕事も応援してるからね。明日、生徒さん来るんだっけ。」
「うん、明日の食材の買い出しもしたいしスーパーまで私も行くね。クルマ停めてるんだよね?」
沙也は創太が生まれてから、運転もするようになっていました。自宅近くに大型スーパーがあり、家に人を招くときはそこの駐車場を利用させてもらっていました。
沙也を駐車場まで送りがてら、不用品の入った袋を運び出しました。須藤との思い出のある品を手放すのはまだ心痛むことでしたが、自分には必要ないものでした。これで良いのだと自分に言い聞かせていました。
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