第20話 打ち明け話
この日はゆっくりと沙也に会うことができて、かなり気分転換ができました。
最寄り駅の近くにとても美味しいレストランがあり、子連れでは行きにくいお店だったので沙也の気分転換も兼ね、昼食をご馳走しました。お土産のパンは、晩にいただくことにしました。
ランチのコースも終盤で、デザートとコーヒーを頂いていました。
「デザートまで
「うん、沙也にもすごく教えたかったから、やっと来られて嬉しかったよ。私も最近引きこもり気味だったから良かった。美味しいお料理をいただくと、エネルギーがもらえるよね。」
今さらでしたが、もっと早く動き出せたら良かったのにと思いました。これまでだって沙也に連絡できたのに、せっかく近所に美味しいお店があり、時間もあったというのに、自宅で死んだように埋もれていた期間が勿体なく思われました。
「そうだね。でもご馳走になっちゃって悪かったね・・・優理香もこれから仕事探さなきゃなんでしょ?」
「まあ、そうだけどまだ退職金とか、失業手当ももらってるから・・・その間はのんびりしたいと思ってるの。英語の仕事もあるし、少しは収入もあるから。」
正直なところ、英語のレッスンは大した収入ではありませんでしたが、沙也を安心させたくて伝えました。
「優理香、ほんとに英語の仕事が好きなんだね。会社辞めちゃったのは勿体ないけど、営業の仕事は嫌そうだったもんね・・・きっと良い方向に向かっているんだと思う。昨日電話来たときはビックリしたけど・・・思ったより元気そうで安心したよ。」
屈託のない沙也の笑顔に心救われる思いがしました。昨夜、突然だったにも関わらず、家に来てくれると言ってくれたことに最初は驚き焦りましたが、本当はどんなに嬉しかったか。
「・・・あのね、沙也。会社辞めたのは、営業が嫌だったのもあるんだけど、本当は・・・上司と付き合ってたの。で、いろいろあって、会社が希望退職を募った時期と重なったから、ちょうど良いかなと思って・・・」
ずっと、沙也にも打ち明けられなかったことを、私はとうとう伝えました。
「ああ、前に言ってた、部長って人?やっぱり付き合ってたんだ。いろいろ貢いでもらってたみたいだもんね。もう、しょうがないね~。ちゃんと別れたの?」
沙也は不思議そうにもしませんでした。これまでも彼女から深く問い詰められることもありませんでしたが、薄々分かっていたのでしょう。
「うん・・・向こうも東京へ転勤になったらしいし。もう会うこともないと思う。」
私の中では、沙也に隠していたことがずっと心苦しかったので、さらりとでも打ち明けられたことで気持ちがすっきりしました。
「そっか。別れたなら良かったね。優理香ならもっと、良い人に会えるはずだよ。」
沙也も昔から大人びたところがあり、蒸し返して騒ぐようなこともせず、他愛ないことのように受け答えしてくれました。
「うーん、恋愛はもう十分かな~私、あんまり男運良くないのかも・・・」
付き合った男性の数は多いわけでもないのに、男性の嫌なところをさんざん知ってしまったような気分でした。
「またそういう事言って。だからって私はダメだからね!すぐに口説こうとするんだから・・・」
ここぞとばかりに沙也は冗談ぽく言いました。
「別に口説いてないし・・・すぐこじつけてくるよね・・・」
苦笑いしつつ否定しましたが、私はいつもどこかで沙也へ依存しているかもしれないと感じていました。沙也のような人がそばにいたなら、心開いて頼りにできる誰かがいつもいてくれたら、私はおかしな方向へ進まずいられただろうか、と心をよぎりました。
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