第14話 英語教室

「こんばんは。」


 中心部にあるいつもお世話になっているカフェに着き、カウンターの奥へいたご主人に声をかけました。


「いらっしゃい。今日はちょっと早めだね。」


 カフェのご主人であるヒロさんはにこやかに返事をしてくれました。


「最近は時間に余裕があるので。カフェオレお願いします。」


 飲み物の注文をして、いつも使わせてもらっている奥のソファー席へと向かいました。他の席とは間隔があり、離れになっているつくりなので、少人数のグループにうってつけの場所でした。


「ゆりか先生、こんばんは~」


 その日のレッスン内容に目を通していると、お勤め帰りの生徒さんである未央ちゃんが到着しました。いつもお洒落な明るい方で、彼女の笑顔に心が和みました。


「こんばんは。未央ちゃん、今日は早めなんだね。」


「みんなまだですね。京子ちゃんは少し遅れるかもって言ってましたよね。」


「そうだったね。ユキちゃんが来て、時間になったら先に始めましょうか。あ、ユキちゃんが来た。」


 カフェの入り口の方から別の若い女性がこちらへ手を振りました。私達も手を振り返しました。


「お疲れ様です~今日はどうしようかな・・・?抹茶ミルクにしよう。皆さん夜ごはんどうするんですか?」


 テーブルの上に置かれていたメニューを手に取りながら、ユキちゃんが尋ねました。レッスンの間はドリンクを頂き、授業の後は皆で夕食を頂いてゆくのがいつものパターンでした。


「私は食べていこうかな。みんなは?」


 そう答えると、ユキちゃんも未央ちゃんも食べます、と当然のように答えました。


「こんばんは~良かった、間に合った!」


 細身で背の高い女性が足早にこちらのテーブルへ向かってきました。


「京子ちゃん、早めに来れたんだね!良かった。」


「残業になりそうであやしかったんですけど、夕方からのラストスパートが効いてなんとかです。いつもこの時間を楽しみにしているし。」


 上着を脱ぎながら京子ちゃんはソファーへ腰をおろしました。グループレッスンの生徒さんは同年代の女性ばかりで3名いました。月2回のペースで平日の終業後から集まり、初歩的な内容の授業をしていました。


 若い女性ばかりの元気な楽しいクラスでした。家ではだらけてばかりだった私も、ここへ来ると生き返るような思いでした。みんなおしゃべり好きなので、1時間半の授業のうち、雑談へと脱線する時間もおおいに含まれていましたが・・・私の趣味の世界のようなレッスンにもかかわらず、皆さん休まずに参加してくれていました。


「じゃあ、前回の復習から始めます。今日も、スポーツの話題の続きです。前回のプリントはお持ちですか・・・?」


 軽い雑談のあと、私はレッスンを始めました。

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