第11話■剥奪されたプライバシーと男性の把握願望の混在する化粧室

男尊女卑の概念が当たり前となり

徐々に社会全体のモラルも低下を見せ始めていた。

その中でも我々女性たちを苦しめたのは化粧室に関わる問題だった。

これまでは男女別々のトイレが普及されはじめたが、女性側の渋滞緩和などを理由に男女共用トイレが多く作られるようになった。

またコスト削減の観点からか、個室の壁の仕切りの上下には僅かな隙間があるようなトイレも多く、落ち着いて用を足せない時もあった。


私が用を足している間、トイレ内は静寂が保たれていたので私一人かと思い油断していると、扉を開けた向こうには数人の男性がいたこともあった。

私が出てすぐに一人の男性が私の使っていた個室に入った。

他にも個室は空いているはずなのに、何故かまだ流水音の流れる便器へ向かったのか。

私は恥ずかしさでいっぱいになりながら、男性からの視線を感じながら手を洗った。

本当は化粧も直したかったが、落ち着かず出来なかった。

私はやっとトイレから出た瞬間に男性たちの会話が始まった。

恥ずかしさのあまり何も耳にいれないように急いで化粧室をあとにした。

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