第12話 職業欄:所有物 と書く人生 1

私が自分の性癖に気づいたのは小学4年生の頃だった。

体育での更衣する場所も別の場所になり、男子よりも先に思春期が訪れたと思い出すころ。

大して意識もしてなかった筈のクラスの男子に、着替えを覗かれた時のことだった。

本来であれば好きでもない男子に、普段見せない自分をさらすということは嫌悪感を抱いても可笑しくないはずなのに、怒りも悲哀も無い自分の感情に驚いた。


それからというもの、中高と普通の学生と何も変わらない生活を送っていた。

就職活動に入る頃になると、社会の男尊女卑法について学ぶ機会が増えたこともあり、新たな女性としての生き方を学ぶことになった。

それは資産に余力のある男性の所有物になる生き方だった。

時には彼らの横でアクセサリーのように振る舞い、時にはアダルトグッズの代用品と言わんばかりの扱いを受けることもある仕事だ。

殆どの女性たちがやりたがる仕事では無いように思われていたが、実際はこの仕事をやりたくても簡単にはできないほど人気があったのも確かなようで。

これまでは仕事として認められてこなかった女性側の供給により、男性の消費速度も高まり経済の流れも円滑に進んでいる唱える評論家もいたし。

実際にまともに働くことが苦手だったり、過去には援助交際やパパ活をしていた一部の女性達にとってもありがたいことのようであった。


私たち所有物組は、周りが就職活動をする頃になっても遊びほうけているように思われることが多かったが

実際は、遊んでいるというよりも太い人脈を確保するためにエステやジムに通ったり、夜な夜なクラブに通いナンパを誘う格好や踊りをしていた。


所有物組の存在は若年層にも影響を与え始め、学校生活の中でも所有物的な生き方を選ぶ女子も僅かだが存在した。

彼女らの多くは、同性の女子からは好かれていないことが多く「自分は男っぽい性格だから」「男といたほうが楽だから」という理由で、格の高い男性に媚びることを本能的に知っている者だった。


私が初めて男性の所有物として貢献し始めたのは18歳の頃だった。

クラブで出会った35歳の男性と関係を持つことになった。

最初は何度か食事をご馳走してもらい、時々服やアクセサリーを買ってもらう関係性から始まり、親しみを持ち始めた頃に所有物としての関係性を誘われた。

といっても、その男性との関係だけで不自由なく食べていくことは難しかったので、時々はアルバイトとして水商売の世界にも足を運びながら彼のマンションに通った。


最初はアクセサリーとして、彼の横について街を一緒に歩いたり、デートのようなことをしてもらえ、この仕事に対しての幸福度も高く感じていた。

夜の相性も悪くはなく、むしろこれまで付き合ってきた男性よりも良いと思えるほどだった。

時々機嫌が悪いと、乱暴に私の頭を掴んで腰を振ることもあったが、時々豹変する野性的な姿に私は更なる好意さえ覚え始めていた。


彼はいつも私の口の中に出すことを望み、実行した。そして飲むように求められた。

喉元に熱さを感じるたびに所有物になりゆく感覚を実感した。



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