3-1 馬車の旅

馬車って初めてだな、こんなに揺れるんだ。


今、僕は護衛依頼を受けたため馬車に乗っている。

乗っているのは僕と女将さんだけで、テルネとシリカとは一緒に行動していない。


僕だけの理由はいくつかあるんだけど、一つはこの依頼が僕への指名依頼だったから。

女将さんが息子さんの結婚式でバレンという街に行くのでその護衛。

もう一つがテルネとシリカにはやる事があったから。


テルネは難易度の高い魔法を覚えて練習すること、そしてシリカは僕たちの装備を作ってくれる。


ちなみに、レベルダンジョンは8階層まで行って帰ってきた。

理由は出てくるモンスターが昆虫になってしまったから。

テルネとシリカはこの世の終わりみたいな顔をしていたかな、僕も苦手だから気持ちはすごく分かる。


そんなわけで僕は女将さんとバレンまでの2人旅。旅といっても僕の街から半日ほどで着くみたいだけどね。


あれ?僕の街の名前って何だっけ

「女将さん、僕らの街の名前って何でしたっけ?」


「あんた、住んでいる街の名前も知らなかったのかい。

あの街の名前はウタ、覚えておきなさいよ」


「はい。今、覚えました。ウタですね」


そして、次の日の朝。

僕たちはバレンに着いた。

女将さんが帰るのは明日の夜でそれまでは僕は自由に行動できる。


とりあえず、2人へのお土産を買おうかな。


馬車の中で女将さんから聞いた話だとこの街はスイーツの街とも呼ばれるほどスイーツが有名らしい。


女の子といえばスイーツだから2人も喜んでくれるよね。


どんなのがあるのかな?


チョコレート! あっ、こっちにはケーキもある。

あれは、マカロン? 僕はマカロンは少し苦手なんだよな。


いやー、適当に買って行ったら結構な量を買っちゃったな。

便利な魔法のおかげで手荷物とかにならないから気付かなかった。


まぁ、良いかな。余ったらギルドのお姉さんとか先輩冒険者さんにプレゼントしよう。


そろそろ、宿に帰ろうかな。

宿は女将さんが予約してくれたんだよね。

もちろん、断ったんだけど僕が宿で朝食を食べていないのを理由に強く説得させられてしまった。


おぉ、凄い宿だ。あっ、女将さんもいる。


「女将さん、こんなに凄い宿をありがとうございます」


「凄い宿だって、それは良かったね。

息子の宿なんだよ」


「息子さんの宿なんですか!! 凄いです。」


「ありがとうね。私はまだこれからお酒を飲みに行かなきゃいけないからね。また、明日だね」


ふぅー疲れた。馬車の旅は意外と疲れるな、女将さんは凄い元気だったけど。


2人へのお土産も買ったしやり残したことはもう無いかな、


あー!忘れてた。この街のギルド長に渡す手紙を預かってたんだ。

明日の朝、忘れずに出しに行かないと。

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