妄想男子

46sagi

第1話


令和も2年になり、人類は素晴らしく発展していった。かつてのオーパーツや未確認生物、心霊写真そのほとんどが解明されていった。


そんな幽霊がプラズマだと言われている昨今、俺は呪いをかけられていた。


そう呪い。


その呪いとは初対面の人と話そうとすると口は金縛りにあったように開かなくなったり頭が痛くなったりお腹も痛くなる、金縛りを解き口を開いても出てくる言葉は、あ、はい、そうですね。たったの8音、普段は50音使い分けれるのに、呪いが発動すると5分の1しか出すことが出来ない。


これは呪いだ、呪い以外何がある!?


人はこれを人見知りと片付ける、が、これは呪いだ!

そんな誰でもそうだよ〜みたいなことを呪われてない奴が言うんじゃない!!

人見知りのくせに授業が隣でその日の昼から一緒に食べる⁉︎

フィクションじゃないの⁉︎

なんなの?今だに知り合いとしかご飯を食べれない俺は何⁉︎俺こそがフィクション⁉︎

なら消してくれ!!!!!



そしてフィクションなのかノンフィクションなのかもわからない俺は更に呪いをかけられている、その呪いとは


異性と上手く話せない、、、


いいか?

異性はこの世に半分いる、そして初対面の人は更にいる、そのほとんどの割合と喋るのに俺はとんでもないデバフを食らっている!

俺がRPGの主人公なら仲間を集めるところからエクストラモードなんですけど⁉︎

勇者の必須スキルはどう考えてもコミュニティ能力だろ!!



そして巷で溢れかえる異性との距離を縮めるLINE10選⁉︎


まずは異性とLINEを交換する方法10選でしょうが⁉︎

交換するまではチュートリアルだとでも思ってんのか!!





長くなったけど俺にはそんな現代の科学でも証明出来ない呪いにかかっている、そしてこの瞬間も俺への呪いは絶賛発動中だった。



バイトが終わり帰る時、なんと憧れの加藤さんと上がり時間が一緒に、更に加藤さんとは帰り道が一緒だから加藤さんと一緒に帰ってLINEでも聞いちゃってなんて考えて、、


考えてかれこれ5分間。

俺は加藤さんに気づかれないように後ろを歩いてる、、、、



もう、変質者だ、、、、、


いやこれは完全にストーカーだ、、


可愛い子の後ろを歩くネクラ男


一発逮捕じゃないですか。



それか誰にも気付かれずこの距離のまま時が経ってなんか気づいたら家まで行っちゃって加藤さんの家の玄関が開いてそこからパパなんか出てきちゃって


「パパただいまー!」


「おかえり!、、、ん!?なんだその後ろの奴は!!?」


「後ろ?、、、キャー!!あれはネクラくん!!なんで私の後ろに⁉︎ストーカー⁉︎」


「貴様ウチの娘の後ろに立つんじゃない!!」


なんてなっちゃってボッコボコにされるんだ、可愛い子のパパは強面って決まってる、、俺はボコボコにされて結局警察に捕まるんだ、、、、

きっとその時加藤さんはおしぼりの入ってた袋を見るような無感情な眼差しを俺にするんだ、、



イヤダァァァァ!!

話さないと!捕まるのもイヤだしボコボコもイヤだ!無感情な眼差しはちょっと欲してるけどそれはそれだ!


そんなことを思っているともう帰り道は後半戦、もう正直ここらへんで誰かに見つかってもそこそこ問題になる気がする、もう帰ろうかな。。


俺がそんなことを思っていると



-ポトッ-


加藤さんのカバンからストラップが落ちた、あれは確か友達と女子旅に行った時に買ったお揃いのストラップ!

何故知ってるか?そんなの休憩被ったとき加藤さんが仲のいいバイトの子と喋っているのを聞いていたからだ!!


しかしあのストラップはとても大切なものと言っていた届けないと


そう思ってストラップを持ってしまった、

持ってしまったぁぁぁこれマジで届けないとヤバい!!


そんなテンパっていると後ろから


「おーい!お疲れ様!」


後ろから我々と同じバイトの木村が現れた。


木村コイツは危険だ、、


キッチンのくせにフロアの子とも仲が良い。

きっとこいつはチャラい。

いや、実際チャラいかは知らないがフロアの子とも喋っているんだコイツはチャラいに決まってる!


そう

チャ村だ。


チャ村はきっと新メニューが出るスパンのように彼女を入れ替えるんだ、それかセットメニューのように彼女を増やしていくんだ。

なんて恐ろしい男なんだチャ村、、、


まてよ、そんなチャ村がこのストラップを見つけてそれを加藤さんに渡して加藤さんがチャ村さん優しいみたいになってそのままLINEなんて交換して遊びに行っちゃってみたいになって最終的に、、、



うぁぁぁぁぁ!!ダメだ!チャ村の魔の手から加藤さんを守らなくては!!



俺がやる気に満ち溢れた頃チャ村が話しかけてきた


「よー、お疲れ!」


「あ、はい」


「あれ?前歩いてるの加藤じゃね?」


「、、そうですね」


「ん?てかそれ加藤のストラップじゃんアイツ落としてんじゃん」


「はい」



「そしたらそれアイツに届けてあげな、大切だって言ってたし。それじゃ俺こっちだから、お疲れ様〜」


「あ、お疲れ様です」


そう言いチャ村は去っていった。


チャ村、普通の人からしたら話したウチに入らないかも知れない、しかし俺からしたら今のは歴とした話したウチに入る。

初めてちゃんとチャ村、、いや、木村と話したが思ったよりチャラくないのかも知れない、いや思っただけだけど。


そう、俺は今まで妄想してただけだ。

このストラップを拾ったようにちゃんと妄想ではなく動かなければいけないんじゃないか。


もしかしたら木村とも仲良くなれるかも知れないし!

いや、これも妄想だけど。。


とにかく今の少し前向きな俺はきっと今だけだ、少ししたらまた呪いがどうのこうの自分が顔を出す。

今しかない。


それに呪いだとしても木村のおかげで俺の呪いは緩和された、お疲れ様です。バイト中なら言えるがバイトが終わった外でもちゃんと言えた。

8文字、すは被ってるけど今の俺はだいたい16音も話せる!2/5も喋れる!


それすらも前向きに捉えて俺は加藤さんに話しかけた。


「あ、あの!!」




その時の俺はLINEで距離を縮める方法10選を見ることになるなんて思ってもなかった。



fin 46sagi

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