【30 郷⇒倉 今のWEB小説界隈で読みたいファンタジーついて】回答。

 いま、読みたいファンタジーは数年前から変わっていません。

「龍盤七朝 DRAGONBUSTER 著・秋山瑞人」の新刊を心待ちにしています。

 全三巻で完結する予言があるのに、三巻目を待って八年経ちましたよ。

 本屋に立ち寄って「あれ?新刊出てるやん、知らん間に」っていう夢をいまだにみるぐらい楽しみにしています。


 ファンタジーといえば、主流なのが剣と魔法の西洋風ファンタジーですが、DRAGONBUSTERは中華風ファンタジーです。


 Wikipediaによると、

「デビュー前からの知己である秋山瑞人と古橋秀之によるシェアワールド企画、龍盤七朝シリーズ。これは、龍盤世界という一つの世界の中で二人が話を作り上げる企画である。

 龍盤世界とは、古代中国を基にした仮想世界で、一(いつ/イー)螺(ら/ルオ)平(へい/ピン)凌(りょう/リン)鍠(こう/ホアン)該(がい/ガイ)電(でん/ディエン)という七つの王朝が時代も別々に存在するという。それぞれの時代で技術や魔法などの違いがあるというが、詳細は不明」

 とのことです。


 岩田屋町で、倉木とシェアワールドをしている郷倉くんなら、参考にすべく、おさえているはずですよね。


 さて、これで解答が終わりと言いたいのですが、鬼才・秋山瑞人先生は、未完の名作が多い作家です。なので、完結は半ば諦めているので、他に目を向けていきます。


 まずはじめに、倉木は純ファンタジーを執筆した経験がありません。

 執筆途中で色々と考えてしまうんですよね。

 たとえば、十字路という言葉ひとつとっても引っ掛かりを覚える。

 十字路という言葉の意味は、道が十字に交差した場所。

 漢数字の十があってこその言葉だとすれば、この世界で浸透している数字は、アラビア数字ではなくて漢数字なのだろうか?

 てな感じで、筆が止まった経験はマジであります。


 おそらく、純ファンタジーを執筆する事前準備が大変なことになります。歴史の年表をつくってからでないと納得して書けないでしょう。

 でも、そこまでして、ファンタジー世界にこだわる必要ってあるかなぁ。一時期、ジャンルがファンタジーならライトノベルの新人賞で加点されるのを知っていても、現代にテーマをおとしこんで執筆する道を選んだぐらいっすからね。懐かしい。


 そういった点から考えても、ツッコミの入る余地がないファンタジーを書いてる作家はすごいです。化け物です。


 あかん、よせばいいのに、妙なスイッチが入りそうや。往復書簡の解答を考えるついでに、ファンタジーをなんか書きてぇなぁ、って思ってきた。

 そもそも、読みたい作品=書きたい作品とも言えそうなので、書くかどうかは保留にしつつ、この方向性で解答を探します。


 そういえば、話題にあがったYはダイの大冒険が大大大好きだったはずです。

 名作ですもんね。倉木も実家にコミックスが全巻あるので、間違いなく好きな作品です。ガキの頃、リアルタイムでみていた旧アニメをNetflixで予習し、新アニメはアマプラで楽しんでいますよ。


 名作のファンタジー漫画は、リメイクされる傾向にあるのかもしれない。

 ベルセルクしかり、HUNTER×HUNTERしかり、魔術師オーフェンは、リメイクというかようやくというべきか。

 ここまで考えて、どの作品も、そのファンタジー世界で産まれた人間を描いているという共通点をみつける。自分で書くとなると、かなり大変な作業になりそうだ。やはり、説明が少なくてすむ現代の物語に、おとしこんで書いたほうが……。


 他に好きなファンタジー作品を思い出します。ファンタジー世界に巨大ロボットをかけあわせた、覇王大系リューナイトやNG騎士ラムネ&40やVS騎士ラムネ&40炎も好きな作品。魔神英雄伝ワタルはプラモデルつくったなぁ。ワタルもリメイクするんやっけ?


 ラムネやワタルに光が見えた。

 どちらの作品も、いわゆるオチモノと呼ばれる話です。

 世界に問題があり、その解決をできる存在がやってくる(異世界から落ちていく。あるいは、異世界に落ちていく)。解決するために必要な存在は、解決したら世界から去っていく。そのままとどまっていたら、新たな脅威になるもんね。魔王を倒したあとの勇者が、脅威になるうんぬんと同じ流れ。


 このパターンならば、地球の歴史を知っている主人公でも問題ない。

 書けるかもしれない。

 と、テンションを上げてすぐに、別にこれって異世界じゃなくてもよくね? と思ってきた。


 主人公が異界に行くのと、主人公が別の惑星に行くのも、物語の構造としては同じではないかな。

 つまり、スペースオペラと形が同じ。

 こうなると、好みの問題になってくる。

 召還されるより、宇宙船で移動やな。魔法より、遥かに高度な科学でしょ。剣より銃。ファンタジーよりSF。

 完全に好みです。クリストファー・ノーラン監督が好きだから、SFには興奮する。


 そういや、幽遊白書も最後らへんは魔界という異世界に行くなぁ。あれは、主人公が人間界に敵がいなくなった、居場所がなくなりつつあるっていう背景があったので、異世界に行く流れに説得力があった。

 主人公が異界に行く明確な理由があって、ファンタジー世界にどっぷり入るのならば、喜んで書けるかもしれない。

 でも、幽遊白書は魔界編の前に、人間界編があってこそだからなぁ。長い物語を経て、読者に「この世界では収まりきらない存在」という印象づけたキャラが、ファンタジー世界に行くっていうのが好きなだけなのかもしれない。


 いきなり、すごい奴が異世界に行くのなら、ドリフターズという名作がある。

 でも、あれは幽遊白書の人間界編にあたるものが、実際の歴史の教科書で描かれているという考え方もできるわけで。

 そうでない奴が、いきなり異世界に行きました。活躍しますっていうのは、なんかリアリティーがないんだよなぁ。


 ファンタジーなのに、求めているのはリアリティー。


 だから、流行りの異世界転生ものに、あんまり魅力を感じないのかもしれない。

 そもそもの入りとして、死んだ奴が異世界に転生するという時点で、おじさんは戸惑ってしまう。

 なんで、死ぬ前の記憶が残っているの? それに、なんで都合よく転生できるの?


 ドリフターズのキャラみたいに、歴史の教科書に載るような連中でも、転生はしていない。死ぬ前に異世界に飛ばされただけ。瀕死の状態で異世界におとずれて、死んだらそいつの運っていうのがドリフターズなんだけど。転生されるほど優遇されるってことは、さぞかし価値のある人間が死んだんだろうな。てか、価値がある人間だったら、異世界で活躍する前に、死ぬ前の世界で活躍できるだろうが、そっちを描けや。


 都合よくファンタジー世界のいいところだけを描くような話だけは書きたくない。

 たとえば現実世界の子育てと同じで、ファンタジー世界で生きていくのは、どう考えても大変だろう。

 子供は可愛いところもあるけれど、それ以上に色々と、手がかかるし大変だ。ファンタジー世界も、楽しいところはあるけれど、現実世界のノリで生きていたら、大変なことになるだろう。ちょうど、子供が産まれる前と同じノリで生きていたら、子育てなんて出来ないのと同じように。


 てなわけで、ファンタジーなのに、求めているのはリアリティーという倉木は、異世界転生ものっぽいのを描こうと思います。

 11月中に掲載できればいいなぁ。

 皮肉がきいた、ある種の残酷さが垣間見える物語にしますね。


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