【29 郷⇒倉 ノベルゲームについて思うあれこれ】回答。
ノベルゲームないし、美少女ゲームについてあれこれ語るとなれば、サウンドノベルを作ろうとした二十代後半の倉木を振り返れば解答になるんじゃないでしょうか。
時は、2013年。情熱乃風の初稿を仕上げてしばらくした頃、このシナリオをサウンドノベルゲームに流用しようという話が、地元の友達との間でうまれました。
情熱乃風は、奇しくも郷倉くんが美少女ゲームというキーワードを使って解説をしてくれた作品でもありますね。
情熱乃風には、合計で四つのシナリオがあって、カクヨムに掲載している情熱乃風Rは、その中の一つに過ぎないんですよね。
全てのルートを攻略すると、ようやく主人公の川島疾風が浮き彫りになるという完成形を目指していました。
サウンドノベル計画は、倉木が情熱乃風エンドの続編を優先して執筆したため自然消滅しました。ゲームのシナリオ以外を担当するというクソ負担が大きかった友達よ、まじでごめんね。
USBメモリー内でデータを探すと、2013年の11月に保存されたテキストファイルで、他のルートのプロットを発見しました。
以下の四つのエンディングになります。()内は、最初の企画段階での方向性をあらわしたものです。
・彼女と結婚という幸せなゴールに向かうエンド(ハッピーエンド・洋画的な感じ)
田舎のスーパーに、爆弾を持った男の立てこもり事件とUMAが絡んだ話。プロットを組んだあと、知り合いの店のトイレに、ナイフを持った男が女子高生を連れ込んで立てこもったというマジ話をきいた。いまにして思えば、眠る少女の続編として位置づけるのならば、これぐらいのエピソードで良かったのかもしれない。ハッピーエンドになるし。
・元カノの家庭問題を解決エンド(過去の清算・邦画的な感じ)
他のルートでは語られない主人公の過去に焦点があてられた話。お蔵入りしたものの、設定の半分ぐらいは、はつこいクレイジーで描いている。残り半分は、顔のない獣シリーズで描くかな。
・親友の妹エンド(萌え萌えルート・アニメ的な感じ)
サウンドノベルを作るならば、萌え萌えなものもひとついるよね? ってことで書き出したら、どのルートよりも筆が進まなかった。結果的に、萌えの部分ではない場所で魅力を見出して、後の作品の「くる×とまわれ情熱乃風」(そのうちカクヨムに掲載します)で空気感の一端を担っている。
・情熱乃風エンド(バッドエンド)
令和に入った頃、削り作業を終えてRにうまれかわった。初稿段階から、バッドエンドは決定事項でした。
けど、バッドエンドをバッドエンドで終わらせせるのは、作者次第なんですよね。ぶっちゃけ、ハッピーエンドになるまで、物語を続ければいい。そのつもりはあります。計画も練れています。あとは、書くだけ、推敲するだけ。
さてさて、バッドエンドから続編をつくろうという発想は、倉木が一番好きな美少女ゲームに影響を受けたからです。
「顔のない月」という名作ゲームをご存知でしょうか。作品内容は、語りだしたら止まらなくなるので割愛しますが、続編に「桃華月憚」という作品があります。
「桃華月憚」を進めていくうちに「顔のない月」の、どのエンディングの続きなのかがわかっていく。よりにもよって、真・鬼エンドといわれる、最悪なバッドエンドの続編だとわかる。
幸せなエンディングの続編は、鈴菜日記というゲームがあったけど、倉木鈴菜推しとしたら、まだまだ幸せな鈴菜がみたかったというのに。なんだよ、畜生。その悔しさをこじらせて、ペンネームで倉木って名乗るようになっちまったやんか。それで、書籍化して胸張って生きてるよ。
話がそれた。
「桃華月憚」が、バッドエンドの続きとして作られた理由は明白でした。「顔のない月」のトゥルーエンドで解決された事件は、長きにわたる計画の最終段階。それを止めて、主人公とヒロインが幸せになりましたってのは、ご都合主義が過ぎやしないかってことらしいです。ちょっと納得できる。あのアベンジャーズでさえ、インフィニティ・ウォーで負けてる訳やしね。
アベンジャーズに代表されるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品は、全部見ているのに、ノベルゲームのテキストを読んでクリアしたものは、ほとんどありません。
はまりにはまった「顔のない月」の続編の「桃華月憚」はやりました。同じ会社の「ヤミと帽子と本の旅人」も楽しみました。ヤミと帽子で登場するキャラが、顔のない月とも関わりがあるって展開は熱いものがあった。
この別作品と繋がりがあるという展開は、カクヨムで掲載中の岩田屋町作品の目指すところかもしれません。
カクヨムで、どんな作品を掲載しても、岩田屋町と繋がりがあるのではないかと、読者が勘ぐってくれるように、郷倉くんと頑張っていきたい。
この下地が出来た状態の発展型は、同会社の「パラソル」というゲームが教えてくれました。
同じ会社が出した新作ゲームなので「顔のない月」に、繋がりがあるんだろうと思いながら、学校を休んでやりこみました。休んだことに後悔はありません。
もしかしたら「パラソル」と「顔のない月」に繋がりがあったのかもしれないけれど、わからなかった。てか、繋がりがあろうともなかろうとも、面白いやんけ。テキストを全部読んで良かった。学校よりも大切な学びがあったよ。
最近の倉木は、作品を読んでもらうのは、面白い作品をつくることと同じぐらい難しいことではないのかと思っています。
好きな作品の好きなキャラに関わりがある話が飛び出すかもしれない。そう思って読んでもらって、関わりがないのに面白いって思わせられるような作家になりたいものです。
そういえば質問の際に、郷倉くんが「美少女ゲームが浮気を推奨している」みたいなことを言っていましたね。
ここからは、狙っているヒロイン以外のルートをしているときに、こういう心境もあるんだよ、という話をひとつ。
そのゲーム内で一番好きになったヒロインと結ばれ「ない」ルートを選んだ際にも、面白いと思う瞬間があります。一番好きなヒロインの別の一面が、攻略していないときに見える瞬間が最高に好きです。
親しくなったら、あんな一面を見せてくれるヒロインも、別のヒロインを攻略中のため、関係性に距離があったら、こうなるのか。それも、またいい。どんなあの子でも肯定しちゃう精神。
そういえば、サウンドノベルを作っているときは、一つのルートのシナリオだけが極端にテキスト量が多くならないように気をつけていました。その解決策として、どれか一つのシナリオで情報過多にならないように、バランスよく細部の設定を、個別ルートに散らばらせていくようにしました。
そもそも、シナリオの流れで、この設定をいかせないってことが、どうしてもあります。たとえば、泳ぎが得意なキャラなのに、水がある場所に行く機会が本筋ではなかった。でも、別のルートではあるので、そこで泳ぎが得意だと描く。
一つのシナリオでは、死んでいた設定が、別のところではいかせるっていうのは、サウンドノベルを作っていて楽しかったですね。
これと似たことが、岩田屋サーガでも起きていますね。
我々の作品群からいえば、主人公が変わることで、キャラの新しい一面がみえることがあります。
書き手が変わってキャラがぶれていると言われそうにもなりますが、我々も登場させる際に気をつかって書いていますよね。プロット段階で、この設定はありかなしかと、意見をすり合わせたりしてます。
作者が二人いることで、人間の多様性を描けるのは強みでしょう。このキャラは、こいつにはいい顔をするが、こいつには辛辣。それだけで、人間の深みが出ますよね。
まさに、これは美少女ゲームの別のヒロインを選んだ形ではないでしょうか。
浮気をせずとも、新たな一面が見えることで、真のルートに至るものを、郷倉くんと作っていけているのかもしれない。
さて、ここまでは18禁の美少女ゲームから話題をとってきました。ちょっとまずいのではと思って、最後に全年齢対応のゲームに関して少しだけ。
シュタインズ・ゲートは最高だ。シュタゲは、全年齢推奨だよね?
PS4で新作のゲームが発売されたとき、本体を持っていないのに初回限定版を購入したぐらいです。
後に、嫁がクリスマスに本体を買ってくれるまでは、説明書やパッケージを眺めていました。ゲームをプレイし終わったいまでは、PS4はNetflixをテレビで観るための機械になっています。
シュタインズ・ゲートは、アニメでゲームの大筋を描いてくれています。Netflixでアニメは観えますが、やはり細部まで楽しむのならばゲームがオススメですね。アニメ化されていない名作エピソードが、ゲームには多いんです。
あの作品は、主人公が一人のヒロインを選ぶために、他のヒロインを見捨てても、グループの人間関係が面倒くさくならないんですよね。タイムリープという設定を使ったことで、とてつもない説得力とリアリティーをもたらした名作です。
やっぱり主人公は、誰にでもいい顔をするよりも、誰か一人をきちんと選ぶほうが、ええやん。
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