【29 郷⇒倉 ノベルゲームについて思うあれこれ】質問。

 最近、ノベルゲームがやりたい欲が凄い湧き上がってきていて、東浩紀的に言えば、「美少女ゲームが作り出した、あの独特の幸せな日常感」に浸りたくて仕方がないんです。


 疲れているのか、病んでいるのか。

 更に言うと、ノベルゲームをしながら酒を飲みたくて、さきほどウィスキーを買ってハイボールにして飲んでいたんです。

 そんな中、母親に電話をしないといけないことがあって、電話をしたところ二時間ちょっと喋っていました。


 僕は以前から母親と電話をすると平均で二時間くらいになっちゃうんですよね。

 で、なんでだろうなぁと不思議に思っていたのですが、今回の電話で母親が「私から見ると、息子って言うより友達って感じなんだよね」と言っていました。


 どうも母親から見て僕と弟は人生の紆余曲折に悩んで、あーでもない、こーでもないと言っている友達で、そういう僕たちの話を聞くのが楽しくて仕方がない、らしいです。

 僕と弟もキャラが違いますし、人生の進め方も全然違いますから、そんな二人から人生の悩みを聞くのは確かに楽しそうです。


 そんな訳で、僕は母親に三十代になる不安について、あーだこーだと話をしていて、気づいたらノベルゲームをする時間が無くなっていました。残念。


 で、そんな僕ですが、どうしてノベルゲームをしたくなったかと言えば、「ようこそ実力至上主義の教室へ」というアニメを見たからなんです。


「ようこそ実力至上主義の教室へ」は、ライトノベルが原作のアニメなのですが、作者は衣笠彰梧というノベルゲームのシナリオライターをされていた方でした。


 僕は衣笠彰梧がシナリオライターを担当した「暁の護衛」や「レミニセンス」というノベルゲームが好きだったんです。


 なので、「ようこそ実力至上主義の教室へ」も好きだろう、とアニメを見たんですが、いや、もちろん好きなんですけど、ライトノベルという媒体だったせいか、「レミニセンス」で到達したテーマが後退していて、あぁ残念という気持ちになりました。


 ノベルゲーム、いわゆる美少女ゲームには、ある種のテーマが内在していて、それを完全に昇華したのが「CLANNAD」だったと思う部分が僕にはあります。


 倉木さんの「情熱乃風R」の解説でも書いたのですが、「美少女ゲームは選択肢を選んで幸福なエンドを目指すルール」によって進んでいきます。

 そして、美少女ゲームの醍醐味は複数のヒロインを選べる、という点にあります。


 言ってしまえば、美少女ゲームは常に複数の女の子を選んで攻略していくことが求められるコンテンツで、浮気オッケーどころか、むしろ浮気を推奨しているような見方のできる内容になっています。


 全ヒロインのルートをクリアしなければ、見られないシナリオもあるので、常にやり直しの利かない現実を生きている僕たちからすると、美少女ゲームの世界はどうしても無責任な構造になっているように見えます。


 そんな美少女ゲームで如何に責任を負った物語を作るか。


 あくまで僕の考えですが、そういった点で最も優れたテクストが「CLANNAD」でした。

「CLANNAD」の主人公、岡崎朋也は高校卒業後に電気工となって、古河渚というヒロインと同棲し、結婚して汐という子供をもうけます。

 言ってしまえば、家族を作った話です。


 こちらはアニメ化もされていて、当時高校生だった弟に見せたところ、「俺は岡崎朋也になるんだ」と言って、母親に結婚願望があると伝えたりしていました。

 我が弟ながら、影響の受けやすいことです。


 まとめると、僕の中での美少女ゲームの一つの到達点は家族を作ることでした。言い換えれば、家族を作り父親という役割を担うこと、それこそが責任を負った物語なのではないか、と僕は考えます。


 当然のことですが、性行為をして子供ができれば、立場上は父になることができます。けれど、親になる為には、それ相応の覚悟や責任を負う必要があります。

 誰かの息子だった人間が如何に、他人と関わる覚悟や責任を負っていくのか、という過程を僕は美少女ゲームに求めた訳です。


 そして、「レミニセンス」は父親的な立ち位置の人間を裏切ったり、裏切られたり、未熟な自分を如何に成長させて父親的な存在に認めさせるか、ということが描かれていて、その部分が最高に好きだったんです。


 なのですが、「ようこそ実力至上主義の教室へ」は父親的な存在が支配した世界(ルール)の中で如何に、上手く立ち回るか、という話になっていて、子供(誰かの息子)という立場から出ない為に残念だなぁとなった訳です。


 いやまぁアニメは全12話で、原作はまだ続いているので、結論を出すのはまだ早いとも言えるんですけれども。


 さて、というようなことをダラダラ書いたのですが、倉木さんにとってノベルゲームないし、美少女ゲームについて思うことなどを教えていただけると幸いです。

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