【20 郷⇒倉 男の子が悩んで葛藤するものって?】回答。

「SSSS.GRIDMAN」に関しては、個人的にLINEで語ってしまいましたね。

 なので割愛したいのですが、この場でなにもないのは味気ないので、二つだけ。

 六花ちゃんは、かわいいね。フィギュアが欲しいレベル。

 オープニングテーマを作られた、オーイシさんがご結婚されたそうです。めでたい。


 以下、解答になります。


 悩み、葛藤というのを成長という言葉に置き換えて考えてみました。


 成長したなぁと思う男で、まず頭によぎったのは、天元突破グレンラガンの主人公・シモンでした。

 第一話では、地球の地下で暮らしていた少年が、最終話では全銀河を救う男となる。それこそ、作り手によっては地上に出るまでにゆっくりとワンクールを使ってやりかねない作品もある中で、本作は一話のラストで地上に出た。そのストーリーのテンポが凄まじく速いのが特徴でもある。その速さで、銀河にまで行けたともいえる。


 ただ、ここまで書いたものの、彼は成長しつづけていないのに気づいた。

 シモンは兄貴キャラを失ったあと、ヒロインが登場したことにより、成長します。その最初の成長段階で、よくも悪くも成長しきってしまいます。そのため、戦時中は頼りになるが、平時には微妙な奴の典型となってしまった。平時にも、進化を続けているキャラはいねぇものか。


 そこまで考えて、自分の置かれた状況が変化する度に、成長する男に思い至りました。

 ヴィンランド・サガの主人公、トルフィンです。キャラの説明のために、これから、ヴィンランド・サガのネタバレがはじまります。


 ヴィンランド・サガは、西暦1000年代初頭の北欧の物語。当時の戦争に参加を強要されたトルフィンの父親は、ヴァイキングのアシェラッドに殺されてしまった。復讐のためにトルフィンは6歳から、仇が頭を務めるアシェラッド兵団の中でヴァイキングとして育つ。兵団内で武勲をあげるたびに、報酬がわりにアシェラッドへ決闘を挑むトルフィン。

 いわゆる『ヴァイキング編』と位置付けられるこのシリーズ。感情豊かだった子供が、仇討ちという目的のために人間らしさを失う姿は、闇落ちしていく主人公のそれです。

 闇落ちというのは、いうなれば後ろ向きに成長しているともいえる。そんな進む先に闇しかない成長に変化が訪れるのは、目的を失ったときでした。

 仕えると誓った王子と故郷、その両方を守るために、アシェラッドが死を選んだことにより、トルフィンの生きる目的は失われた。

 これにより、トルフィンに転換点が訪れる。『奴隷編』の開幕。

 ヴァイキングとして戦争に荷担したのを語ることなく、トルフィンは奴隷として金持ちに買われ、農業にいそしんでいる。

 牛二頭の家畜と変わらぬ値段をつけられ、虐げられることも多い中ではあったが、同じ奴隷仲間とは兄弟のように親しくなる。

 やがて、トルフィンが奴隷として暮らす場所にも戦争の手が延びる。戦えば武勲をあげられるような状況でも、トルフィンは戦おうとしない。それでも衝突が避けられないときは、最小限の犠牲で済むように、素手で自らの信念を貫く。その信念こそ、父から幼少期に教わった「誰にも敵なんかいない」という考え方だった。

 ただ、当時の北欧は『暴力で富を奪うことをよしとし、戦わないことを恥とする』考え方がはびこっていた。そこでトルフィンは、戦わずに済む楽園をつくるために、希望するものを引き連れてヴィンランド(アメリカ大陸)に移住する目的を持つ。

 トルフィンの行動により、奴隷として暮らしていた町での戦争は最小限の被害でおさまった。そして、トルフィンと奴隷仲間は、晴れて自由の身となる。


 戦争で生き残った勝者であるヴァイキングと、生き残った敗者である奴隷。両方の経験を経たトルフィンは里帰りをし、ここからヴァイキングへの移住のための資金集めをするための『商人編』がスタートする。

 遠い地まで船旅を行えば、タダで仕入れたものが高価で買い取ってもらえる。旅の途中、ヴァイキング時代に犯した罪が、トルフィンを苦しめる。

 奴隷編以降のトルフィンを知る仲間たちは、真っ当に生きようとするトルフィンのために行動してくれる。ヴァイキング時代、仲間という概念がなかったのに、トルフィンもまた仲間のために危険を顧みなくなっていた。

 父を殺すように指示を出した諸悪の根源への怒りに飲み込まれることもなく、ヴァイキング時代に自分の犯してしまった罪を背負いながら、それでも生きていく姿に心身ともに成長したと感じずにはいられない。


 かいつまんで、現在のコミックス最新刊までの流れを語りました。


 強くなければ生き残れない世界。だから、強くなった。ただ、強さを得るかわりに、犯してしまった罪は、場所や立場が変わってもずっと背負わなければならない。

 プラスの変化もマイナスの変化もひっくるめて背負った上で、幼少期のように感情豊かになったトルフィンこそが、成長したに相応しい男だと思います。


 そして、トニー・スタークも成長した男だと思います。

 トニー・スタークは続編が作られるにつれて、トルフィンはシリーズが進むにつれて、どんどん成長していく。

 自分の作品も長く続いているものがあるので、自作の主人公の成長が続くように見習いたいものです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る