【09 郷⇒倉 結婚について】質問。

 僕と倉木さんが同じ教室にいた頃です。

 とある先生に倉木さんが「結婚したから書ける文章もあると思うんですが、どうですか?」と訊ねていました。

 その先生は結婚されていて、「そんなのないよ」と答えていました。


 個人的に結婚したから書ける文章はある気がしています。

 結婚していない僕が言うのも変な話ですが。


 内田樹の「困難な結婚」にて、結婚できない多くの人たちの理由として「結婚するとどんな『いいこと』があるのか、わからないから」ではないかと挙げています。

 それに関して内田樹は、


 ――結婚したらどんな「いいこと」があるかなんて、結婚する前にはわかりません。

 (中略)

 結婚して人は大人になる。大人になってはじめて、結婚してどういう「いいこと」があったか、事後的・回顧的にわかる。そういう順逆が転倒したかたちになっているんです。


 とのことでした。

 つまり、ここで僕が倉木さんに結婚の「いいこと」を教えてください、と窺ったところで、僕には分からない訳です。


 ただ、倉木さんは学生時代から結婚すると「いいこと」があると、どこか確信していた気がします。

 今の奥さんと付き合っている時も、この人と結婚をしなければ誰ともしない気がするとおっしゃっていました。


 倉木さんは学生時代、どのような結婚のイメージを持っていて、それは結婚後どのように変わったのでしょうか?

 また、小説を書く上でも変わったことがあれば、教えていただきたいです。


 ちなみに僕の現在の結婚のイメージは曖昧です。


 内田樹の言葉を否定するようですが、結婚をしなくとも人は大人になれると思いますし、結婚をしなくとも人生において「いいこと」は訪れます。

 ただ、結婚をしないと見えない世界はある気がしていて、おそらくそれは見てみないと分からないものなんだと思っています。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る