第4話 失恋のデュエットソング

 さっきの最高の歌を歌っていたのは香山さんだった。


 正直羨ましいと思った。なぜなら才能があって、それでいてひたむきに頑張れることは、誰にでもできることではないからだ。


 この人の技術を盗みたい。そして何より、一緒に歌ってみたかった。

天才に今どこまで届くのか知りたい!そして超えたい!!

                     

 気づいたら言葉を紡いでいたんだ。ここから【何か】が加速する。

分からないけど確信があったんだ。俺は自分の直感に従って動いた。


 「一回さ、一緒に歌ってくれないか?」


 「え?一緒に歌うの?」


 「ダメか?とても上手かったからさ、一緒に歌ってどれくらいの差があるのか確かめたいんだ。香山さんも歌手目指すんじゃないか?それだったらライバルだし切磋琢磨して行けばいいんじゃないか?」


 「……そうですね。では何を一緒に歌えばいいんでしょうか?」


 「そうだな………この歌でいいかな?」


 俺はそう言ってあるデュエットソングを見せた。


 「分かりました。」


 そう言って香山さんはマイクをONにした。そして俺が置いたスマホから、伴奏が流れ始めた。


 この曲は、夏によく歌う曲だ。そして失恋ソングでもある。

一瞬にして香山さんの雰囲気が変わった。始まる……!!


 「夏が好きだと君は言っていたよね」


 香山さんの声は切なかった。その一フレーズだけで未練、そして後悔を感じた。


 (やっぱり凄い……!!)


 素直にそう感じてしまった。一瞬にして周りの空気が変わった。


 彼女の声は儚くて、美しくて、そして取り返しのつかない何かを今も嘆いているように感じた。


 そしてサビに入る。俺は一瞬てスイッチを入れた。香山さんの歌声とハモるように  〜紡ぐ〜


 「「君に思いを伝えられていれば こんな未来には気付かなかったのに」」


 その瞬間、震えた。


 なぜか分からない。けれど確かにこの空間が震えた。


 その震えに俺は心地よさすら感じた。そして完全にギアが入る。


 ときが遅く感じた。それでいてとても早く感じた。


 ただ歌いたいんだ!という思いのままさらにメロディーに思いを、魂をのせる。


 「「繰り返す後悔 蘇る気持ち 思い出したくないのに」」


 完全にシンクロした声がただ真っ直ぐに突き抜けていった。二人の声がぶつかりあって、両方が主役で、互いを引き立てあっていた。


 プロでも太刀打ちできないだろう。終の豊かで、優しくて甘い声が、凛音がもつ澄んでいて、儚くて美しい声と混ざり合ってさらに引き立てていた。


 歌が終わった。


 当然部屋は静まり返る。先にこの心地よい沈黙を破ったのは…香山さんだった。


 「ねぇ、なんであんな【嘘】をついたの?」


 そんな疑問と共に。















 はじめまして、読者のみなさん。リフレインです!

今回終と凛音が歌った曲は私の作詞したものですww

どうだったでしょうか?私的には上手くいった曲の一つなので、またどこかでフルで歌わせようと思っています!

 若輩者が故に色々と御迷惑をおかけすると思いますが、

これからも【底歌】をよろしくお願いします!

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