第23話 お兄さんと再会した
追手から逃げる中、あたしはとうとう息を切らしてしまった。
マリアンヌが体を張ってあたしを逃がしてくれたのにアタシってばなんてザマなんだ・・・。
体を休めると逃げて来たのとは逆の方向、前の廊下から足音が聞こえてきた。
回り込まれた?いや違う。そうなら足音がこんなにゆっくりな訳がない。
足音が近づいて来る。観念した時、見覚えのある顔だとようやく気付いた。
「マリアンヌのお兄さん!」
彼もあたしを見て驚いた様な顔をアタシに見せる。
彼が何故逃げずに学校をうろついているのか、銃声が聞こえないのか。いやそんな事はどうでも良い。
「お兄さん!逃げて!銃を持ったテロリストが!銃を持った奴らが学校を襲っているの!」
「君を追ってきているのか?」
「それでマリアンヌとはぐれてしまって・・・」
「このままじゃ、お兄さんも危ない。一緒に逃げましょう?ね?」
コツリコツリと足音が聞こえて来た。遠くからではあるが先程のテロリストの一人である事は間違いない筈だ。
彼の顔を見ようとした瞬間、お兄さんがあたしに見せた顔は先程と違って完全に目つきが鋭くなっていくのが分かった。途轍もない恐ろしさと頼もしさを同時に感じている内にアレクサンドルがジャケットの中から四角いごつごつの物を取り出す。外見からすぐにピストルであると分かった。銃の事は詳しくないし知りたくもない。分かるのはお兄さんがピストルの上部部分を左手で摘まんで一瞬弾が見えたので撃つ為の準備をしているのだろうと言う事だ。
足音と金属のすり合う音が髪の毛を逆立たせる。相手も銃の弾丸を装填しているんだろう。
「テロリストの一人が近いな。まずは隠れよう、いいな?」
何故彼は行き成りピストルを取り出せたのか?それを今まで持ち歩いていた彼は一体何者なのか?一瞬でそれらの疑問が頭の中をよぎる。
だが同時に殺されるという恐怖もよぎった。
今頼れるのは彼だけだ。何故か彼ならこの状況を乗り切ってくれるだろう。そう都合の良い希望を彼に託し、彼の指示にあたしは黙ってうなずく。
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