第22話 あたしは逃げた

「やめろ!その子は関係ない筈だ!」


校長先生の声だ。


「准尉殿、こいつの存在を知っていたようだな。」


そうだ。入校する時に事情をあたしの口から説明したのだ。それを校長先生は嫌な顔一つせずに受け入れてくれた。


「ほう、もしかしてドゴールを通じてお前にはこの娘の正体は伝わっていたと?まぁ、仮にも国賓的存在に傷でもついたら問題だしな?」


校長先生はその太り気味の体を動かしアタシをかばう形でテマムの前に立ちはだかる。


「生徒に手を出すのは私が許さん!死んでも守って見せる。」

テマムは校長先生のセリフに何か考える所があったようで考えるような仕草をしていた。

そしてー


「面白い、やってみろ。」


大きな花火の様な音と共に校長先生が取れた。

胸にはぽっかりと赤い穴が空いておりテマムが右手で拳銃を振り振りと回していた。

絶叫の中、あたしは校長先生が殺害されたのだとようやく気付く。


「さて、校長は死んだ。今度こそあんたを拘束させて貰うぜ。」


テマムの手下の一人がそう言いながらアタシの腕を掴んだ。強引に掴まれて痛い。

その時、異変が起きた。

腕を掴んだ男にマリアンヌが体を使ってタックルして来たのだ。

一瞬であたしは奴から解放される。

その男に抑えられながらマリアンヌは叫んだ。


「アリス、逃げて!」


テロリスト達は動揺していた。脱出するチャンスは今だけ。

あたしには友達を、マリアンヌを置いて逃げるしかなかった。

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