第18話 僕は妹を探す事にした
この銃声は何度も聞いた事がある。9mmパラベラム弾の連射音だ。乾いた銃声が爆竹の様な音を繰り返す中、悪寒が走った。
一体何が起きているのか。マリアンヌは無事だろうか。アリスは?考えながら校内を歩き回っているといきなりぶつかった気がした。見てみるとマリアンヌと同じ制服の生徒である事に気付いた。確かアリアナといったっけ。
「アレクサンドルさん!あぁ良かった!」
声をかけられた。
アリアナが僕を最初にクラスで見つけたのが彼女らしい。クラスメイトらしき女の子達が5名程ぜいぜいと息を切らしながらアリアナの後ろにいた。
「何が起こっているんだ?妹はどうなった?」
「強盗だか、テロリストだか何だかわかんないだけど・・・その?」
焦っていたのかアリアナの説明は具体的ではない。だが趣旨はなんとなく呑み込めた。
「銃もった奴らが行き成り襲って来て・・・あたし達は逃げられたけどマリアンヌ達は分かんないの!」
その連中の目的は不明だがマリアンヌがそいつらに捕まっている可能性があるという事か。そういう事なら僕の目標は既に決まっている。
「分かった。もう大丈夫だから。」
床に置いていたバッグを担いでアリアナに指示を出す。
「君に頼みがあるんだ。良く聞いて欲しい。」
アリアナに僕から見て後ろの扉を指さす。
「あそこの扉から学校の外に出られる筈だ。そこから道沿いに行けば町の方へ降りられるからそこで検問をしている警官にこの事を話すんだ。良いね?」
「アレクサンドルさんは?」
「僕は妹を探しにいく。」
「危ないよ!相手は銃を持ってるんですよ?」
アリアナが僕を諭そうとする。無理もない。僕は一人。相手は彼女の話からすると恐らく4名以上と推測できる。
「まぁ何とかなるさ。こう見えても僕逃げ足は速い方だからね。」
説得しようとしてもアリアナと他の生徒達は心配そうに僕を見つめていたままだ。
「時間が惜しい。とりあえず君達は僕の事なんか気にせずここから逃げてくれ。警察に早く知らせてくれれば早くこの事件も終わるだろう。」
彼女達はそれ以上なのも言わなかった。そして言われるがままドアの方へ向かっていった。彼女達が見えなくなってから僕はバッグからピストルと予備のマガジンを取り出しジャケットの中にしまいこんだ。
「大丈夫さ。なんたって僕もテロリストだからね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます