第17話 学校にテロリストがやって来た

階段を下りて1階に辿りついた時には他の生徒達も同じ指示を受けていたのかかなりの数の生徒が集まっていた。恐らく同じ場所に全校の生徒200人近くが集まったと思う。


徐々に外への脱出を心みる生徒達も見受けられたが大半の生徒達は火災訓練とはうって変わってどう動けばいいのか分からず不安と恐怖でおどおどしている様に見えた。

不味いな。こんな所をあいつらに見つかったら。


銃声が2発響いた。

他の生徒の悲鳴が起こる中、1階の窓を見るとさっきの男達が銃をアタシ達目掛けて発砲して来たのが分かった。1ヵ所に生徒が集まっている状況を好機か何かと見做したのかギラギラとした笑みを二人とも浮かべていた。


「皆逃げよう!一番近い出口は左の方だから!」


身振り手振りでクラスの皆を誘導し、アリアナを筆頭に校内の1階左側へとアタシ達が移動し始める最中、校門の様子はなお異常なものになった。

二人の男達は校門の方へ手仕草で信号を送っている様だった。すぐに大型の軍用トラックが校門を高速で突っ切って校内へ入った。衝撃でドアがガシャンと派手に破壊された。

悲鳴と瓦礫の崩れる音が混ざってますますひどくなる中でトラックの後ろから生えて来るように男達が一斉に降りて来た。全員が作業服と軍靴で統一されており手には大きな機関銃やバズーカの様な武器で携行していた。銃に詳しくなくても分かる。あれは間違いなく殺傷力の高い軍用のものだろう。

マリアンヌがあたしの顔を向いた。恐怖に満ちた顔がアタシの目に映っていた。あたしの顔も同じ様になっていたかもしれない。男達は統率が取れている様で地面に這いつくばっていたり泣いていた子達を銃を向けながら確認していた様だった。


「いたっ!離せよ、この!」


銃火器はマリアンヌの方にも向けられていたが彼女が目標では無かった様で確認していたテロリストはあっさり彼女を突き離した。

その銃口を今度はアタシへと向ける。よくみるとそのテロリストは実は女だった。年齢は20代後半くらいであたしの顔を確認するなり分からない言語で後ろにいた無精ひげの男に叫び始めた。その男はニヤリと下品な笑みをアタシに見せつける。


嫌な予感がした。


泣き叫ぶ他の生徒達を睨みながらテロリストの一人が機関銃の銃口を天井に向けて乱射した。


「静かにしろ!ガキども!」


銃口を向けられたアタシ達は口を開く事が出来なかった。

先程の無精ひげの男がテロリスト秀さんの前に立ちアタシを品定めする様に見つめている。


「探しましたぞ、殿下。貴方に一仕事お願いしたいのですが・・・よろしいですね。」


予感は的中した。

とうとうこの日が来たのだ。

あたしの安寧は崩れてしまったのだ。

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