第16話 あたし達は逃げる事にした
「ねえこれって不味くない・・・?」
そういうアリアナを横にあたしはとりあえず状況を整理した。あの男達が服から取り出したのは間違いなく小型の拳銃だ。それであの憲兵さん達を・・・。
「殺されたの?」
マリアンヌの発言にアタシ達は凍った。
タンギー先生も何が起きたのかを理解した様で先程のヒステリックな態度は鳴りを潜めていた。
「皆様。私も信じられませんがわが校に不審者が侵入して来たようです。」
クラスの皆は黙ったまま先生は話を続けた。
「私は警察を呼びに出ます。あなた方は火災訓練を元に落ち着いて行動して下さい。絶対にあの男達の所へは行ってはなりません。よろしいですね?」
そうするしかなかった。校門の方を再びみると先程の二人はもう校門をくぐって中に入っていた。
「さぁお行きなさい。彼らに決して捕まらないように!」
そういってタンギー先生は教室を出て行ってしまった。取り残されたアタシ達は茫然としていた。何せ今起きている事があまりに唐突で非現実すぎるから。これも何かの訓練なのかもしれない。マリアンヌもアリアナも他の皆もそんな考えが蔓延している様に見えた。
落ち着け。前にも一度こんな状況を乗り切ったアタシなら何とかなる筈!
手を叩いて皆の注目をアタシに向ける。
「大丈夫だよ皆!前やった火災訓練みたいに落ち着いて行動すればいいからね」
実の所その保証は無い。でも教室に留まると皆が殺されてしまうから・・・。
「多分後から警察がやって来てアイツラを逮捕してくれるからそれまで学校から脱出しよう。ね?」
皆あたしの言葉に納得してくれた様で下へと移動する為に動き始めた。マリアンヌを除いて。
「マリアンヌ、早く逃げないと。」
彼女の手を掴んだ時、その目が潤んでいる様に見えた。
「あいつはどうしよう?まだこの学校にいるかもしれない。さっきの男達があいつに何かしたら・・・」
お兄さんの可能性をあたしはすっかり忘れていた。彼が何者であろうとこんな事態は想定していなかった筈だ。
「お兄さんならもう学校を出てると思う。それに元軍人だし一人で何とか出来るでしょ?」
嘘だ。
マリアンヌを納得させる為の嘘だ。軍人と言われても戦う役職ばかりじゃない事はこのアタシが良く知っている。それに飛び道具じゃあの男達に勝負を挑むのは難しいと思う。
でもマリアンヌを納得させられには十分だったようで一安心した彼女の手を掴んだまま避難する他のクラスメイトの所へとアタシと彼女は足を駆けた。
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