第15話 不審者たちが襲って来た。

今あたし達はまさにお祈りを捧げ終えていた。隣のマリアンヌはたぶんお兄さんの帰路の安全を願っているのだろう。あたしはバレませんようにとしか祈りはしない。お兄さんの事は嫌いじゃないけれどあのバッグの中身を見たら胡散臭い印象しかなくなる。


でも決めたんだ。もう余計な詮索はしないって。秘密を持つあたしが同じく秘密を持つ彼に口出しする権利なんてないじゃないかと。

昨日アタシは二人に内緒で話を盗み聞きしていた。マリアンヌはお兄さんに対してかなり不満がありそぅで情けない事に彼は一言も反論しなかったけれども。

このまま彼がいってしまえばお互いについて正体を探る機会は永遠にないだろうそれで良いと思っている。


お祈りを終え、最初のタンギー先生の授業を始める時に机へとあたし達が戻った時、クラスメイトのアリアナが昨日と同じくじぃっと窓の方を見ていた。


「そこのあなた!今は授業中ですよ!」


「でも先生、校門がおかしいですよ?」


またこの展開?今度は誰のお兄さんが来て憲兵さんに尋問されるのかしら?横でマリアンヌも不貞腐れている。


「今度はどの生徒の父兄さんですか?」


タンギー先生はきつめの声でアタシ達に問いた。誰も読んだ覚えはなくしんとしていた。


「先生、今回は二人みたいですよ。両方男性っぽいです!」


タンギー先生など気にせず興奮気味にアリアナが外の様子を報告する。


男が二人?警備の憲兵さんの交代かな?

それにしては変な時間に来たものね。


「あの・・・先生ちょっと。」


アリアナが指を振るえながら窓の外を指すので気になったあたし達も窓の方へと集まる。


「ちょっとあなた達、今は授業中ですよ!席に戻りなさい!」


先生の言葉を無視してアタシ達は校門の方を食い入る様に見ていた。昨日とは別の意味で様子は変だ。

アリアナが言っていた二人の男達は昨日のお兄さんとは違った意味で奇抜だった。中東系の上下共に茶色の作業服の様な者を着込んでいる様に見え頭をニット帽か何かを被っていた。二人ともそうなので不気味な統一感を感じた。


「ねぇ、あの二人どう見てもうちの学校の関係者じゃないよね?」


アリアナがアタシにそう言うが見ればわかるでしょ。うちの学校に中東系の留学生など聞いた事がないのだけれど。それにあの顔はとても堅気には見えない。


「憲兵の人たちに追い返して貰わないとね。」


憲兵の二人は男達に大声で何かを叫んでいた。

憲兵の一人が肩からぶら下げていた機関銃を手に取ろうとすると作業服から何かを取り出して花火の様な炸裂音が校門に響いて憲兵の方が地面に倒れた。

もう一人の憲兵も男達に銃を構えようとするがまた炸裂音が起きて彼も倒れてしまった。

二人とも起き上がる気配は無い・・・。

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