第14話 僕は手紙を書いた

目を覚ますとマリアンヌは既にいなかった。

アリスの姿も見えないので時計を確認したらすでに7時。時刻表では今頃お祈りの時間だろう。今更食堂に行くわけにもいかないのでバッグにあった堅くなったパンきれとハムとチーズの簡単な昼食を室内で済ませパジャマからワイシャツとジャケットへと着替えながら彼女達の事を考えていた。

お祈りを捧げながら二人は何を考えているのだろうか?僕の旅路の安全でも祈っているのだろうか?いやそんな贅沢な考えはよそう。土足で荒らした僕にはそんな資格は無い筈だ。


扉を開けて廊下に出るとやはり誰もいない。

食事も一応終えたしこのままこっそり消えた方が良いだろうか?


いやそれも失礼だな。


そう考え僕はいったん二人の部屋へ戻り紙と鉛筆を取り出すと別れを告げるありきたりな内容の手紙を書き始めた。

この後どんな連中を相手にするかも全くしらないまま、僕は書き記すべき言葉を慎重に選んでいた。

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