第10話 妹を押し倒してしまった。
「大丈夫か、マリアンヌ?」
まずマリアンヌの安否を確かめたかった。頭でもうったらと思うと寒気がする。
転ぶ直前に彼女の頭を地面の衝撃から守るように抱いていたのが幸いしてか彼女は「大丈夫だから」と小声でいった。
体を起こそうとする前に僕はとんでもない事に気付いてしまった。
僕はどうやらマリアンヌに覆いかぶさる様に転んでしまったようなのだ。いまの状態は非常に不味い。体を少し起こしてしまえばまるで僕が妹と体を重ねているように見えるじゃないか。マリアンヌも同じ考えなのか床で横になってしまった彼女は下着姿のまま赤らめた顔で僕を涙目で睨みつける。
「ごめん・・・そんなつもりじゃ・・・」
気休め程度の謝罪をしていると・・・・
「どうしたの!?大きな音がしたけど・・・」
硬直したままの僕達の前に勢いよくドアを開けて現れたのはパジャマの姿のアリス。彼女の後ろを他の部屋の女子生徒達が野次馬の様に部屋の前に現れてきた。
彼女達の目には僕が下着姿の妹を押し倒したかの様に見えたのだろうか女子生徒達が顔を赤らめたりキャアキャアと黄色い声をあげたりと勝手にはしゃぎ始めていた。
唯一僕達を見ても一言も発していなかったアリスが口を動かす。できれば彼女に誤解を解いてほしいのだが・・・。
「二人とも!いくらお互いが大好きだからって間違いを犯しすぎだよ!」
彼女もまた勝手に勘違いをしていた。
「「ちがう!」」
妹を押し倒した様な状態のまま僕達兄妹の叫びが虚しく寮に響いた。
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