第9話 妹の下着姿を見てしまった

しばらく部屋の真ん中に腰を下ろして二人の返りを待っていて30分程たってからか、マリアンヌが帰って来た。アリスはいない。

よく見ると胸元が少しはだけた制服を着崩しているような恰好だ。

妹が厄介者を見るような目で僕を見返してこう言った。


「パジャマもっていくの忘れた。」


「着替えるからアタシのベッドに座っといて。こっち見るな。壁の方見ろ。」


僕がマリアンヌのベッドに中国かどこかの禅を組み様に腰を掛け、彼女に背を向けた時にタンスの棚を開ける音と服が擦れる音がする。

マリアンヌが僕のそばで着替えているのか考えただけで胸がバクバクしてきた。こんなのおかしいじゃないか!妹相手に興奮してどうするんだ?気をそらすちょうど良いアイディアを思いついた。


「さっきは聞けなかったけど学校での調子はどうなんだ。」


月並みの質問だが話題作りには良いだろうと僕が考えた矢先―


「別に。普通だけど。」


妹の答えは素っ気ないものだった。普通ってなんだよ。


「普通なんて言われても分からないよ。詳しく教えてくれよ。」


お嬢様学校の彼女の生活の何が普通なのか僕にはさっぱり分からないのだから教えて欲しいのだが・・・。


「詳しく教える必要があるの?」


「この8年間お前が何をしていたかを知りたいじゃないか・・・」


「今更なに?あんたに教える程の事じゃないでしょう?」


顔を振り向かなくても彼女の怒りがこみあげてくるのが声で分かる。


「教えてくれよ、可愛い妹の話だぞ?」


「今更兄貴ぶらないでよ!今まで会おうともしなかったくせに!」


彼女は語気を次第に強めていく。


「お前には何度も会おうとしたんだ」


僕にはこれくらいしか言えなかった。弱弱しく言い訳をするしかなかった。


「お母さんに合ってよ!お母さんがどれだけあんたの事心配したと思ってんの!」


「まだ・・・帰れない。まだ僕にはやる事があるんだ。」


「やる事ってなに?お母さんとアタシに合う事以上に大事な事って何!?」



それは言えない。それを言うとお前まで巻き込むかもれしれないから。

僕には沈黙しかなかった。


「何とかいってよ!」


枕を僕へ向けて投げようとするのが分かり僕は反射的に振り向いてその枕を掴んだ。しかし妹の方へ体を向ける時には彼女がまだ着替えていた事など忘れていた。

目の前に見えたのは制服からは分からなかったが主張している胸部と引き締まった臀部が純白の下着に覆われた妹のあられもない姿だった。思わず僕はドキッとしてしまう。

恥ずかしかったのは彼女も同じ様で次第に顔を赤らめていく。


「馬鹿!こっちみんな!」


恥ずかしさのあまりかマリアンヌは近くの棚に置いたあったものを手当たり次第に投げてきた。痛い、やめろ。そんなの何も解決しないし早く服を着た方がいいと思うぞ。

マリアンヌが棚に最後に残っていた大きなランプを掴んで僕に投げようとした時、大きなランプの重力が彼女の右腕を地面に引きづりこもうとする。


ー不味い。このままでは彼女が怪我をしてしまうー


スローモーションで起きたかの様に妹が転んでしまうのを僕は急いで彼女の手を掴もうとした、が僕も重力につられて一緒に転んでしまった。

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