第7話 妹の部屋に泊まった

どうやらアリスが学長へ掛け合ってくれたのが功を成したのかあっさりと学校での宿泊を許可された。

簡単夜食を地元の喫茶店で済ませた僕は学校に戻ると妹に片手を繋がれたまま二人の部屋まで有無を言わさず連行される事態となった。

寮の廊下を歩かされるとドア越しから女子生徒達が自分を見ていた。今まで僕くらいの年齢の男が来なかったのか、目はスターが来たかの様な好奇心で輝いていた。

その様な現象に僕は困るのだ。どうすればいいのやら。


「余所見すんな!」


手を握っていた妹が小声で僕に毒づく。仕方ないだろう。パリですらこんなに女の子と出会う事はそうそうないのだから。

男が女と交わる事のいったい何が悪いのか。

そういう言い訳は飲み込んで黙って彼女の文句を聞き流していた。


「あら?マリ、もしかしてやきもち?」


「やきもちじゃない!」


からかうアリスに対して抑えた声を一気に吐き出すように大声で叫ぶマリアンヌ。その顔は体力を使ったせいかリンゴの様に真っ赤だ。先程までのツンとした顔も困惑したものに崩れている。

二人が過ごしているという部屋まであともう少し、そう思っていた矢先目の前に女子生徒が3人程近づいてくる。

困惑した模様の妹を押しのいて来た。


「マリアンヌのお兄様ですか?」

「最近治安が悪いのです。」

「お兄様守ってくださいますよね?ね?」


僕はたじろいでしまう。可愛らしい女の子達が

女の子と言うのはこうも香りが甘いものなのだろうか。軍隊生活が長かった僕にはあまりに刺激が強すぎる。


「ど・い・て!」


目の前の女子生徒達がマリアンヌの威圧にたじろいでしまうのを見つめたまま僕はそのまま二人の部屋へ連行されてしまった。


二人の部屋は入って右手に2段ベッド、左手にちょうど二人用の恐らく勉強用の机が配置されていた。映画に出て来るような典型的な学生寮の部屋に見えた。

どう考えても3人目を想定していない設計だ。果たして僕は間の床で寝ろという事なのか。恐る恐る僕はマリアンヌに尋ねてみた。


「マリアンヌ、僕は床で寝た方が良いのか?」


「何言ってんの?床なんかに寝られたらあたし達が歩く時邪魔でしょ?だからあんたもベッドに寝て貰うから。」


いやまってくれ。それだと誰かと添い寝をする事になるのでは?

マリアンヌもそれに気づいて様で次第に顔が赤らんだいく。


「あ、あたしのベッドで寝るに決まってるでしょ!アリスと一緒に寝れると思ってた訳?!」


「馬鹿お前!僕が寝込みを襲う男に見えるのか!」


そんな事する訳ないだろ!可能性を全く考えていないかと言えば嘘には・・・、もう考えるのはよそう。


「ねぇマリアンヌ、そろそろ行かないと。」


アリスにせかされマリアンヌが自身のベッドにあったタオルとシャンプーを手にもった。そういえばもう夜の7時だったな。


「今からお風呂に行くの。あんたの時間も設けといてあげたからあとから入いんなさいよ。他の子の前で臭い兄貴なんて絶対嫌だからね。」


ありがとうとだけ言って僕は風呂場に出て行く二人を見送った。

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