第2話
2人に遅れて森に入ること10分程度だろうか。
村の近くの森の中には大人であれば1人でも倒せる程度の角ウサギや大ムカデがでる。
俺ぐらいの子供でも2人いればなんとか逃げるなり、追い払うなりできるだろうが、1人では正直きびしいだろう。
注意しながら進んでいると、先程の兄弟が向こうからやってくる。
俺はとっさに茂みに身体を隠してやり過ごし、2人が来た方向に進む。
少し進んだところで上で何かがキラリと光った気がし、目線を少し上げると、高さ3メートル程のところの枝に指輪が引っかかっているのを見つける。
木登りはあまり得意ではないため、何度も挑戦して何とか指輪を回収したところ、辺りは日が沈みかけ、薄暗くなり始めていた。
マズいと思い急いで村へ戻ろうとしたところ、前方の茂みがガサガサゆれ、1匹の角ウサギが飛び出してきた。
どうにか逃げられないかと考えていると、角ウサギは一目散に近寄ってきて、その頭の角を俺に向けて飛び掛かってきた。
俺は咄嗟に横に飛び、その攻撃を躱そうとするが、角ウサギの尖った角は俺の足をかすめ、体制を崩して転んでしまう。
急いで立ち上がって逃げようとするが、先ほど攻撃を受けた足がズキっと痛み立ち上がらない。
そこへ角ウサギが振り返り、もう一度俺に向かって飛び掛かってくる。
「もうだめだ...!!」
そう思い目を閉じて角ウサギと身体の間に手をかざしたが、角ウサギの攻撃はいつまで経っても俺に届かなかった。
目を開けると、角ウサギの角を軽々と剣で受け止める1人の男の姿
「坊主、こんな時間に子供が1人で森なんかに入ってたら危ないぜ」
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