第758話 更なる脅威
「レイナさん、早く何とかして下さいよ!!まだ能力は使えるんですよね!?」
「分かってる!!」
「ゴガァアアアアッ……!!」
マグマゴーレムが迫る中、レイナは解析の能力を発動させてマグマゴーレムを倒そうとした。だが、彼が解析を発動出せた瞬間、視界に異変が生じる。
「うっ!?」
「えっ!?どうしたんですか!?」
「こいつ……1体じゃない!!とんでもない数のゴーレムが集まってるんだ!!」
『えっ!?』
レイナの言葉に全員がマグマゴーレムに視線を向けると、直後にマグマゴーレムの肉体に異変が発生し、体中のいたるところに人面のような物が浮き上がった。
どうやらレイナ達が相手をしていたのはマグマゴーレムの単体ではなく、群体である事が判明した。数十体のマグマゴーレムが合体した状態でレイナ達に迫っている事が判明し、これではレイナの能力が通用しない。
(1体や2体をどうにかしたところでこいつは止まらない!!なら、雨でも降らせて溶かすか!?)
ゴーレム種の共通の弱点は水であり、レイナは雨でも降らせてマグマゴーレムを倒す方法を考える。すぐに適当な道具を取り出して雨を降らせようとした時、ここでクロミンが何かに気付いたように騒ぎ出す。
「ぷるんっ!?ぷるるんっ!!」
「クロミン!?」
「こんな時にどうしたんだ!?」
「……何か感じたの?」
クロミンが危険を知らせる様に震え出すと、直後にマグマゴーレムの群体から異変が発生した。多数のマグマゴーレムを掻き分け、姿を現したのは巨大な剣を手にした甲冑の巨人であった。
『がぁあああっ!!』
「な、なんだあいつは!?」
「まさか……あれが甲冑の巨人!?」
「奴が我等の同胞を……!?」
「こっちに来ますよ!?どうするんですか!?」
マグマゴーレムの中から抜け出してきた甲冑の巨人、剣の魔王の右腕と呼ばれたギガンはドラゴンスレイヤーを掲げた状態で歩み出し、その移動速度は並の巨人の比ではなかった。
ドラゴンスレイヤーの方もマグマゴーレムの熱で発熱しており、ギガン自身も全身が赤色に染まっていた。高熱を帯びた鎧と剣を身に付けた状態でギガンはレイナの元へ向かうが、その前にリュコとティナが立ちはだかる。
「いかせません!!」
「お前があたしの国を……許さん!!」
『退け、雑魚がっ!!』
同じ大剣使いのティナと巨人族のリュコが食い止めようとするが、ギガンはドラゴンスレイヤーを振りかざすと二人は同時に大剣と闘拳を繰り出す。だが、圧倒的な力によって二人の武器は弾かれてしまう。
『ふんっ!!』
「きゃあっ!?」
「ぐあっ!?」
巨人族であるリュコと小髭族の血を継ぐティナは常人とは比べ物にならない腕力を誇るはずなのだが、ギガンはその二人を上回る腕力で吹き飛ばす。大人と子供ぐらいに大きな力の差が存在し、かつて王都で暴れた魔王軍幹部のナナシをも上回る膂力だった。
「な、なんて力……!?」
「ぐぅっ……ああっ!?」
「リュコさん!?」
リュコの悲鳴を耳にしたティナは驚いて振り返ると、彼女が拳に装着している闘拳と呼ばれる武器が発熱しており、煙を上げていた。ティナも自分の大剣に視線を向けると、刃の一部が溶けている事に気付く。
どうやらギガンの全身と武器はマグマゴーレムの内部に潜んでいた事で加熱しており、下手に触れると高温で溶かされてしまう。しかもティナの大剣は普通の大剣ではなく、魔法金属の合金にも関わらずに溶かしてしまう事から途轍もない熱を誇る事が判明した。
「くそっ……許さん!!」
「加勢するぞ!!」
「レイナ君、こいつの相手は私達に任せろ!!君はマグマゴーレムの方を頼む!!」
「は、はい!!」
「ここは儂と勇……いや、レイナ殿に任せよ、他の者はその者をどうにかしろ!!」
『はっ!!』
レイナにマグマゴーレムの事を任せるとリル達はギガンを取り囲み、各々が武器を構える。ティナの方も自分の大剣を手放すと、かつてレイナから受け取った「デュランダル」を取り出す。
この中にいる面子はレイナが複製した聖剣を所持しており、チイやネコミンも聖剣を身に付けている。リルに至っては妖刀ムラマサを所持しているが、そんな彼女達を前にしてもギガンは動じない。
『雑魚共が……お前等如きが俺の相手になるか!!』
「僕達を舐めないでほしいな……行くぞ、皆!!」
「女王陛下に続け!!」
『うおおおおっ!!』
ギガンに対して全員が武器を構える中、一方でレイナとカレハはマグマゴーレムの群体と対峙し、どのように倒すのかを考える。大量の水を浴びせればマグマゴーレムも普通のゴーレムのように溶けて倒せるはずだが、レイナが手を打つ前にマグマゴーレムの群体は攻撃を仕掛けてきた。
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