第718話 砂の巨人VS岩の巨人
『ウオオッ!!』
「ゴアッ……!?」
「うわぁっ!?」
「ふ、踏みつぶされるぞ!!」
「逃げろ、とにかく逃げるんだ!!」
サンドゴーレムがキングに殴りつけた際、その衝撃でゴーレムキングは尻餅をつき、危うく砂船の船長と船員達は踏みつぶされそうになった。彼等は慌てて逃げ出すと、起き上がったキングは怒りの咆哮をあげながら拳を突き出す。
「ゴアッ!!」
『ウガァッ!?』
「やったか!?」
キングは拳を突き出すと、サンドゴーレムの胸元を貫通し、大量の砂が地面に舞い落ちる。その光景を見たリュコが声を上げるが、普通の生物ならば死んでもおかしくはないが、生憎と砂の肉体で構成されているサンドゴーレムに物理攻撃は通用しない。
『オアッ!!』
「ゴオオッ!?」
「ああっ!?ゴーレムキングが……!!」
サンドゴーレムは口元を開くと、大量の砂を吐き出してキングの顔面に直撃させる。顔面に衝撃を受けたキングは後退し、その間にサンドゴーレムは肉体を再生させた。
やはり肉体が砂で構成されているサンドゴーレムには物理攻撃は通用せず、キングがどんな攻撃を繰り出してもサンドゴーレムの肉体はすぐに再生してしまう。だが、反面にサンドゴーレムの攻撃もキングには損傷を与えられない。
『ウガァッ!!』
「ゴオッ……オオッ!!」
「す、凄い殴り合いだ……」
「まるで怪獣映画ですね!!ちなみに私はゴ●ラ派です!!」
「いきなり何の話!?」
サンドゴーレムの拳を受けてもキングは怯みもせず、それどころか攻撃を仕掛けたサンド・ゴーレムの拳が崩れてしまう。一方でキングの攻撃もサンドゴーレムには通じず、砂の肉体はすぐに再生してしまう。
無限に再生するサンドゴーレムと、攻撃が通じないキング、このままでは決着がつかないと思われたが、ここでサンドゴーレムが動き出す。
『ウウッ……オアアアッ!!』
「ゴガァッ!?」
「なっ!?押し倒しましたよ!!寝技に追い込むつもりですかね!?」
「ゴーレムが寝技を使えるの!?」
「御二人とも、言っている場合じゃありません!!いますぐに離れないと私達も巻き添えを食らいますよ!?」
サンドゴーレムはキングに覆いかぶさるように押し倒すと、その衝撃で周囲に砂煙が舞い上がり、今のうちにレア達も距離を取る。キングが時間を稼いでいる間に避難しようとしたが、ここでクロミンが騒ぎ出す。
「ぷるんっ!?ぷるるんっ!?」
「うわっ!?クロミン、急にどうしたの?」
「ぷるぷるっ!!」
クロミンは砂煙に視線を向け、何事かとレア達は振り返ると、そこには砂煙の中から更に巨大化したサンドゴーレムだけが姿を現す。キングの姿が完全に消えてなくなり、その代わりにサンドゴーレムの胸元の部分にキングの頭が埋もれていた。
『ゴガァアアアアッ!!』
「ちょ、なんですかあれ!?」
「まさか……ゴーレムキングを吸収した!?」
「えええっ!?」
「何でもありか!?」
「ひいいっ!?お前さんら、助けてくれぇっ!!」
「見捨てないでぇっ!!」
「ぷるんっ(こっちもなんか来た!?)」
サンドゴーレムはどうやらキングを吸収して肉体に閉じ込めたらしく、その光景を見てレア達は慌てて逃走を開始する。船長や船員もレア達の後に続き、一行は砂漠を駆け出す。
キングを吸収した事でより巨大化したサンドゴーレムはレア達を追いかけ、この際に体内に吸収したキングの肉体を利用し、両手の部分がキングの岩石の拳へと変化させた。
『ゴウッ!!』
「うわぁっ!?こっちに来ましたよ!?」
「くそっ……止めろっ!!」
咄嗟にレアはデュランダルを振りかざして衝撃波を放ち、サンドゴーレムを吹き飛ばそうとした。だが、キングの肉体を吸収した事によって砂だけではなく、頑丈な岩石の肉体を手に入れたキングは衝撃波を正面から耐える。
『ゴオオッ……!!』
「吹き飛ばない!?」
「ゴーレムキングを吸収したせいでより重さが増したんですよ!!」
「それならまた雨を降らせて倒せば……」
サンドゴーレムだろうがゴーレムキングだろうが雨を与えれば肉体が泥の様に解け始めるため、ここでレアはポーチに手を伸ばす。だが、その光景を確認したサンドゴーレムは右手の岩石の拳に視線を向けると、反対の腕を伸ばして岩石の一部を剥ぎ取り、レア達に投げつけた。
『ゴアッ!!』
「ちょっ!?マジですか!?」
「危ない!!」
「ひいいっ!?」
岩石の破片を投げてきた敵に対してレアは咄嗟にデュランダルを振りかざし、破片に押し潰されそうになった船員を救う。衝撃波によって岩石の破片を吹き飛ばす事に成功したが、レアが解析と文字変換の能力を発動させようとする度にサンドゴーレムは岩石を投擲し、それを阻害する。
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