第717話 ゴーレムキングの助太刀
「な、何なんですかこれ!?」
「どうなっている!?」
「くっ……いくら切っても切りがありません!!」
「ぷるるんっ!?(←全速力で逃げる)」
無数の腕はレアだけではなく、他の者達も取り囲んでおり、拘束しようと伸びてきた。その様子を確認したレアは何が起きているのか理解できず、どうして地面からサンドゴーレムの腕だけが飛び出してきたのかと戸惑う。
以前に遭遇したサンドゴーレムは自らの肉体が破壊されても再生する事はあったが、砂漠の砂を利用して自分の腕を増殖させて攻撃させる方法は使わなかった。だが、今回のサンドゴーレムはそもそも大きさが規格外であり、明らかに以前に遭遇したサンドゴーレムとは雰囲気が異なった。
(こいつ、何かがおかしい……!?)
レアは自分を拘束しようとしてくる砂の腕を切り払いながらもサンドゴーレムの本体に視線を向け、解析の能力を発動させた。敵の正体を掴めれば何かが分かるかもしれないと思ったが、ここで異変が生じる。
「えっ!?」
「ど、どうしたんですか!?」
「……こいつ、解析が出来ない!!」
「ええっ!?」
『グゥウウウッ……!!』
サンドゴーレムに対してレアは解析を発動させようとしたが、何故か視界には画面が表示されず、サンドゴーレムの正体を見抜く事が出来なかった。
いくら砂で構成された魔物とはいえ、視界内に存在すればレアの解析の能力で正体を把握できないはずがない。だが、いくら解析の能力を発動させようとしても詳細画面は表示されず、ここでレアはある結論に至る。
(俺の解析に反応がないなんて……まさか!?)
レアの解析が通じない生物は存在するはずがなく、ゴーレム種であろうと生物であるならば詳細画面は必ず表示される。それがないという事は考えられるとしたら相手が生物ではない存在、つまりは「死霊人形」の類である事を示していた。
「こいつ、まさか……死霊人形なのか!?」
「死霊人形!?」
「そんな馬鹿な……死霊人形だと!?」
「あ、あり得ません!!実体が存在しないサンドゴーレムを死霊人形に変えるなんて……!?」
死霊人形という言葉を聞いてレア以外の者達も驚き、すぐにティナは否定した。死霊人形は死霊使いが死体などを利用して死んだ人間の魂を憑依させる。死体に乗り移った魂は浄化させるか、あるいは死体を完全に燃やし尽くす以外に倒す方法はない。
だが、サンドゴーレムのような生身の生物の肉体を持たない存在には死霊を憑依させる事が出来るなど聞いた事もなく、現に今までにレア達の前に現れた死霊人形はすくなくとも生身の生物の死体に憑依していた。しかし、今回のサンドゴーレムは肉体が砂だけで形成されており、とても生身があるようには見えない。
『ウウッ……アアアアッ!!』
「うわっ!?」
「くぅっ……駄目だ!?いくら攻撃しても切りがない!!」
「切ってもすぐに再生してしまいます!!」
無数の砂の腕がレア達の元へ襲い掛かり、どれだけ攻撃を繰り出そうと無限に再生し、このままでは捕まるのは時間の問題だった。レアはこの状況を打破するため、何か方法はないのかを考える。
(まずはこの状況をどうにかしないと……砂がない場所に移動するしかない!!)
厄介な砂の腕から逃れるためには砂がない地域に避難するしかないが、この広大な砂漠で砂がない場所などあるのかと思われたが、ここで砂漠に振動が走る。
「うわっ!?」
「な、何ですか!?」
「もう、今度はいったい何が起きるんですか!?」
「これは……わあっ!?」
「ぷるるんっ!?」
唐突にレア達が立っている場所の地面が盛り上がり、やがて砂場から硬い岩石のような物が出現した。姿を現したのは先ほどの雨によって身体が溶けて消えてなくなったと思われた「ゴーレムキング」が出現した。
「ゴガァアアアッ!!」
『ウオオッ……!?』
「ご、ゴーレムキング!?」
「どうして地面の中からっ!?」
「ま、まさか……地中に潜り込んで雨から身を守っていたんですか!?」
どうやらキングは雨が降り注ぐ前に地中に隠れていたらしく、そのお陰で雨の影響を受けずに済み、主人であるレアの危機を感じ取って姿を現したらしい。レア達を背中に乗せたキングは浮上すると、サンドゴーレムと向かい合う。
サンドゴーレムは唐突に出現したキングに視線を向け、怒りの咆哮を放つ。それに対してキングは怯まず、背中に乗せたレア達を腕に乗せ、地面へと下ろす。
「ゴオオッ……!!」
「キング!?まさか、一人で戦うつもり!?」
「ぷるるんっ(無茶だよ!?)」
「ゴオッ!!」
キングは皆を地面に下すと、改めてサンド・ゴーレムと向き直り、超巨体のゴーレム同士が向かい合う。そして最初に動いたのはサンドゴーレムであり、両腕を地面から話したサンドゴーレムはキングに向けて殴りつけた。
※ゴジラVSコング的な展開になってきましたね……(;´・ω・)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます