第711話 浮揚石の発掘
――砂魔蠍を倒した後、遂にレア達は浮揚石が発掘できるという岩山へと辿り着く。浮揚石の外観は普通の岩と比べると白みがかっているらしく、発掘を行う。
「あ、見つけました!!多分、これが浮揚石でしょう!!」
「なるほど……確かに普通の岩よりも白みがかっているな」
「これを掘り起こせばいいのか……よし、クロミンを牙竜に変化させて削り取って貰おう」
「ぷるんっ(マジで?)」
「いやいや、普通にピッケルで十分ですから」
岩壁の中に白みがかった場所を発見したレア達はピッケルを利用して発掘を開始すると、ピッケルを叩きつけた途端に白みがかった部分は簡単に崩れ落ちてしまう。
「ん?なんだ?この石、やたらと柔らかいな……」
「どれどれ……うわ、何ですかこれ?全然重たくないですよ、まるで発泡スチロールみたいです」
「はっぽう……?」
「へえ……本当だ、全然重くないや」
剥がれ落ちた鉱石をリリスは持ち上げると、外見に反して非常に軽く、子供でも持ち上げられそうだった。この鉱石を加工すれば「浮揚石」と呼ばれる魔石が誕生する。
ちなみに浮揚石は物体に装着させればある程度の重量を軽減させる効果を持ち、この性質を利用して砂船の重量を軽くしている。後は砂船に風属性の魔石を装着すれば風圧の力を利用して砂の海でも航海が出来ると船長は説明していた。
「これだけ軽いなら持ち運びも楽そうですね。まあ、私達には収納鞄がありますけど……」
「どれくらいの量が必要なんですか?」
「とりあえずは大樽一つ分の浮揚石があれば十分だそうです。でも、私達は飛行船の分の浮揚石も発掘しなければなりませんからね。ここは大樽二つ分を確保しておきましょう」
「大樽二つか……まあ、意外と脆いしそれほど大変な作業ではなさそうだな」
リュコは崩れた浮揚石を拾い上げ、簡単に岩壁から剥がれ落ちた事から思っていたよりも重労働ではない事を知り、拍子抜けしてしまう。最初に倒した砂魔蠍以外の魔物も現れる様子はなく、レア達は発掘作業を続けようとした。
「さあ、どんどん発掘しましょうね!!こんな貴重な鉱石を手に入る機会なんて滅多にありませんからね!!」
「分かってるよ……あれ?」
「どうかしましたか?」
「いや、今一瞬だけど気配感知と魔力感知が発動したような……」
レアは発掘作業中も気を緩めずに感知系の技能を発動させると、一瞬ではあるが反応があった事に気付き、地図製作の画面を表示する。敵が地図の範囲内に存在すれば表示されるため、画面を確認して位置を確認する。
味方の場合は青色のマークとして表示され、敵の場合は赤色のマークが表示された。画面上には赤色のマークが存在し、しかもあまりにも巨大なマークが表示されていた。
「ちょっ!?何だこれ!?」
「どうかしました?」
「敵の反応がある……でも、画面上だと俺達は敵の反応の中にいる!!」
「はあっ!?」
画面に表示されている敵の反応は岩山全体を覆い込む程の巨大な反応であり、これほどの巨大な反応は始祖の魔王以来である。レアは画面の大きさと感知系の能力が発動している事に慌てて周囲を振り返って警戒を行う。
(何処だ!?何処に隠れているんだ?地中か、それとも上空か!?)
岩山を覆い込むほどの反応など普通ではなく、超巨大な魔物が潜んでいるのかと姿を探すが見当たらない。空を見上げても敵の姿はなく、ならば地面の中に隠れているのかと思った時、ここで岩山が震え出す。
「うわっ!?何ですか!?」
「じ、地震か!?」
「……いえ、違います!!あ、あれを見てください!!」
岩山が激しく振動した事で最初はレア達は地震でも起きたのかと思ったが、突如として岩山の根本の部分から砂煙が舞い上がり、やがて岩山全体に亀裂が生じ始める。
やがて岩山のあちこちから「人面」のような物が浮き上がり、岩壁だと思われていた部分から次々と「ゴーレム」の集団が現れた。その様子を見てレア達は岩壁だと思い込んでいた箇所がゴーレムの議題だと知った。
『ゴォオオオッ!!』
「ちょっ!?なんですかこいつら!?」
「ロックゴーレム……か?」
「ですけど、この大きさは……ゴーレム・キング級です!?」
次々と体長が10メートル近くは存在するロックゴーレムが出現し、その大きさはゴーレムの枠を超えて「ゴーレム・キング」に迫る勢いだった。かつて巨塔の大迷宮でレア達が倒したゴーレム・キングと比べれば小ぶりだが、それでも通常種のゴーレムよりも3倍近くの体型だった。
「な、何が起きてるんだ!?」
「分かりません!!ですけど……これは逃げた方が良さそうですね!!」
「くそっ……どうなってるんだ!?」
巨大ゴーレムに取り囲まれる形となったレア達は武器を構えると、砂船が存在する場所まで逃走しようとした。だが、岩山からは次々と巨大ゴーレムが出現し、合計で5体の巨大ゴーレムがレア達を取り囲む。
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