第390話 これからは共に
「――もう、いきなり来るからびっくりしたじゃないですか!!」
「いや、すまないね……この二人がどうしてもレナ君に会いたいと言い出してね」
「リル様!?私はそのような事は言ってません!!」
「私は会いたかった」
冒険者ギルドから場所を移し、ひとまずはリンが用意してくれた部屋に移動すると、レイナは急に訪れて騒ぎを起こしたリル達に怒る。最もリル達も別にふざけて先ほどは騒ぎ立てたわけではなく、事情を説明してくれた。
「レイナ君が順調に依頼を達成し、銀級の昇格試験を受けているという報告を受けたからね。丁度こちらの方もひと段落が着いたところだから様子を見に来たんだ」
「あ、そうだったんですか。試験の方は……」
「そのバッジを見れば分かるさ。僕は心配していなかったんだが、この二人が君の事が気になって気になって仕方なかったようだよ」
「だから、私はレイナの心配なんてしていません!!」
「レイナ、昇格おめでとう」
「ぷるるんっ(おめでとう)」
「レイナ、おめでと!!」
晴れて銀級冒険者に昇格を果たしたレイナにネコミン、サン、クロミンは素直に祝福し、改めて他人に褒められるとレイナは照れ臭くなるが、銀級冒険者に昇格したといっても今後も活躍して一刻も早く黄金級冒険者を目指さなければならない。
レイナが冒険者ギルドに訪れた理由は二つ、まず一つ目は国内に滞在する黄金級冒険者との接触、そして自分自身が黄金級冒険者になる事だった。黄金級冒険者は国内でも有数な実力者であり、彼等を味方に付けるか付けないかで戦力は大きく変わる。
「それで肝心の黄金級冒険者の捜索の件に関してだが、何か進展はあったかい?」
「あ、それがリンさんの話によると実は俺が依頼を受けている間に黄金級冒険者の一人が戻ってきたそうなんですけど、すぐに王都を離れたそうなんです。すいません……」
「そうか、運が悪かったな……まあ、黄金級冒険者は人気者だからな。依頼を達成してもすぐに別の人間から依頼を指定される事はよくある話だ。一応はリンさんの方にも引き留めるように頼んではいるから気にしないでいいよ」
「そうなんですか……あの、それよりもさっきの話、銀狼隊に俺を入れるというのはどういう意味ですか?」
リルの言葉にレイナは申し訳なさそうな表情を浮かべるが、一方で彼女が先ほど冒険者達に宣言した言葉を思い出す。
リルの口ぶりだと今後はレイナの事を銀狼隊の一員として行動すると宣言したが、そもそも銀狼隊は王都の冒険者ギルドの方で行方不明という扱いになっているはずだった。それなのにあのように堂々と姿を現して大丈夫なのかと思うが、その辺はリルも考えた上での行動らしい。
「大丈夫さ、銀狼隊のこれまでの行動に関しては僕の権力で誤魔化しておくさ。第一にここはケモノ王国、ヒトノ帝国で行方不明になったはずの冒険者が活躍していたとしてもヒトノ帝国側も手出しは出来ないさ」
「そういう物なんですか?」
「まあ、同じ名前の冒険者集団が活躍しているぐらいの対応だろう。仮にヒトノ帝国側が真相を探ろうとしたところで我々は知らぬ存ぜぬを貫けばあちらも何も出来ない。ここは獣人の国だからな、ヒトノ帝国の権力は及ばない」
「それにレイナが銀狼隊の一員なのは間違いない」
「え、そうなの?」
何時の間にか自分も銀狼隊の一員に組み込まれている事にレイナは驚くが、リルはレイナを銀狼隊の新たな人員として加えた理由を話す。
「正直に言えばレイナ君の事を銀狼隊の面子として加えたのは単純に他の
「リル様、そこは優れた力だけで十分では……」
「何を言ってるんだ!?このレイナ君のスタイルを見てみろ!!年齢の割には膨らんだ胸、それでいながら引き締まったお腹、小ぶりだが形良いお尻、こんな彼女を見て放っておく男がいるはずがない!!」
「ひゃんっ!?さりげなくお尻を撫でないでください!?」
「きゅろろっ……せくはら」
「ぷるるんっ(やめなさいっ)」
「はぐっ!?」
レイナのお尻を撫でまわすリルにサンは呆れ、クロミンがお仕置きとばかりにビンタを食らわせる。そんな彼女の行動に誰もが諦めるが、一応はリルがレイナを銀狼隊に咥えた理由は他の冒険者に目を付けられないようにするためらしい。
また、今後は依頼内容によっては単独では引き受けられない依頼もある場合が訪れるかもしれず、銀狼隊の面子と共に活動する機会が訪れるかもしれないという。
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