第330話 ロックゴーレムの大群
「ちょっと待って……ここって、こんなに岩が多かったですか?」
「え?」
「言われてみれば確かに……」
「……まさか!?」
火竜の死骸が存在した場所には多数の岩が存在し、嫌な予感を覚えたレイナは地図製作を発動させた瞬間、自分達の周囲が敵の
レイナはこの場から離れるように指示を出そうとしたが、まるでレイナの不安を読み取ったかのように周囲の岩が震え始め、やがて人面が浮き上がって人型へと変化していく。
『ゴラァアアアアアッ!!』
人間の怒声のような鳴き声を放ちながら十数体の人型の岩石の巨人が正体を現す。かつてヒトノ国の大迷宮でも遭遇した「ロックゴーレム」で間違いはなく、レナ達は慌てて戦闘態勢に入った。
(油断していた……!!)
一度辿り着いた場所という理由でレイナもチイも地図製作を発動させることを怠ってしまい、それが仇になってロックゴーレムの存在に気づく事が出来なかった。しかもロックゴーレムはどうやら巧妙に気配を隠す術を持ち合わせているらしく、気配感知にも発動しなかった。
レイナが気づく事が出来たのは魔力感知を習得していたお陰でロックゴーレムの魔力を感じ取り、正体に気づく事が出来た。だが、他の者たちは唐突に現れたロックゴーレムに混乱してしまい、その隙を逃さずにロックゴーレムは攻撃を仕掛ける。
「ゴロォッ!!」
「きゅろっ!?」
「ゴォオッ!!」
「ぷるんっ!?」
攻撃を仕掛けられたサンとクロミンは頭上から振り下ろされた岩石の拳を回避に成功するが、ロックゴーレムは動きは遅いが力は強く、地面に亀裂が走った。その様子を見てリルは即座に命令を下す。
「落ち着け!!怯えるな、冷静に対処すれば勝てない敵ではない!!」
「は、はい!!」
「うおおっ!!」
リルの言葉を聞いて団員達も気持ちを落ち着かせると、各個撃破を試みる。レイナの方もロックゴーレムと向かい合い、デュランダルを構える。聖剣の中で最も相性が良いと思われるのはこのデュランダルで間違いはなく、ロックゴーレムを倒すために大剣を構える。
普通の剣士ならばロックゴーレムのような岩石で構成されている魔物を相手に剣で挑むような真似はしない。相手は並の岩石よりも高度が硬く、下手に攻撃を加えれば剣の方が傷んでしまう。しかし、聖剣という世界最強の武器とレベルが上昇した事で身体能力が強化されたレイナは躊躇なく剣を振り抜いた。
「はぁああああっ!!」
「ゴガァアアアッ!?」
「す、凄いっ!?」
「一撃でロックゴーレムを倒した!?」
刃を振動させた状態でレイナが剣を振り抜くと、至近距離から衝撃波を叩き込まれたロックゴーレムの肉体が砕け散り、体内に存在する「核」を破壊する。ただの一撃でロックゴーレムを倒したという事実に他の団員達は驚き、一方でレイナの方も聖剣の威力が上昇している事に気づいた。
(いつもよりも強い衝撃波を出せるようになった……そうか、レベルが上がったお陰で魔力も増えたのか?)
デュランダルは所有者の魔力を吸い上げて衝撃波を生み出すため、所有者の魔力が多い人間ほどデュランダルは強烈な衝撃波を生み出せるようになる。今回はフラガラッハは所有していないにも関わらず、ロックゴーレムを一撃で倒せるほどの威力を引き出す事に成功した辺り、レイナ自身が成長したということだろう。
「拙者……いや、俺達も負けていられないよ!!」
「ゴアっ!?」
「おおっ!?勇者様も凄い!!」
「あ、あのロックゴーレムの身体を切り裂いただと!?」
勇者レア(ハンゾウ)はフラガラッハを構えると、ロックゴーレムの肉体を素早く切り裂き、両手と両足、更には頭部を一瞬にして切断してしまう。
フラガラッハは攻撃力3倍増の効果を持つとはいえ、所有者のレベルが低ければロックゴーレムの肉体をは容易く切断する事は出来ない。だが、純粋な剣技ならばハンゾウの方がレイナよりも勝り、彼女は見事な剣技で次々とロックゴーレムを切り裂いていくと体内に隠れている核も破壊する。
「私達も後れを取るな!!ロックゴーレムを倒す術がなければせめて時間を稼げ!!」
「は、はい!!」
「ぬおおおっ!!」
チイの言葉を聞いてロックゴーレムとは相性が悪い者たちは時間稼ぎを行い、レイナやレア(ハンゾウ)がロックゴーレムを倒すまでの間は他の個体の注意を引く。その中でオウソウはロックゴーレムと向かい合うと、彼は力任せにロックゴーレムの巨体を持ち上げ、身体中の血管を浮き上がらせながらロックゴーレムの巨体を投げ飛ばす。
「ぐおおおおっ!!」
「ゴアアッ!?」
「ゴガァッ!?」
「おおっ……オウソウ、なかなかやる」
「オウソウ、力持ち!!」
「はあっ、はあっ……ど、どうだ!!俺の力を思い知ったか……!!」
オウソウの怪力によって投げ飛ばされたロックゴーレムは他の個体と激突した際に共に地面に倒れ込み、亀裂が生じた。その光景を見ていたサンとネコミンは素直に感心すると、ここでリリスも動き出す。
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