第277話 サンドゴーレムの弱点
「だから言ったでしょう!!サンドゴーレムには物理攻撃は効きません!!打撃だろうと斬撃だろうと砂の肉体には通用しないんです!!」
「な、ならばどうすればいいのだ!?」
「サンドゴーレムの体内の何処かに存在する「核」を破壊しない限りは倒せません!!しかもこの核はロックゴーレムと違って流動しているので何処にあるのかも分かりません!!」
「何だと!?」
『ゴロォッ!!』
サンドゴーレムの特徴を知ったオウソウは慌て、その間にもサンドゴーレムは右腕を振りかざす。物理攻撃が効かないにも関わらず、サンドゴーレムの拳はオウソウを殴りつける。
「うおおっ!?」
「オウソウ!!大丈夫!?」
「気を付けてください!!こいつらは攻撃を行うときだけ砂を一か所に固めて攻撃します!!固めた砂は岩石並みの硬度を誇るので絶対に攻撃は受けないようにしてください!!」
「も、もっと早く言ってくれ……!!」
オウソウは殴りつけられた右腕を抑え、骨は折れていないが腕は腫れあがってしまった。だが、オウソウだったからこそこの程度の怪我で済み、もしも他の団員が攻撃を受けていたら一撃で戦闘不能に陥っていただろう。
こちらの攻撃が通じないのにサンドゴーレムの攻撃は通じる辺り、非常に厄介な相手であった。しかも現れた3体はレイナ達を取り囲むように位置取りのため、逃げる事も難しい。オウソウを殴りつけたサンドゴーレムは標的を彼に定めたのか再び腕を伸ばしてきた。
『ゴロロロッ!!』
「ぐぅっ……調子に乗るなっ!!」
「オウソウ!!頭を下げて!!」
「うおっ!?」
迫りくるサンドゴーレムに対してオウソウは右腕を抑えながらも向かい合おうとしたが、レイナが後ろから声をかけると、彼は反射的に頭を下げた。その直後、突風の如き衝撃波がオウソウの頭を通過してサンドゴーレムの上半身を吹き飛ばす。
『ッ……!?』
「はああっ!!」
デュランダルの力を解放してサンドゴーレムに攻撃を仕掛けたレイナは「瞬動術」の固有スキルを発動させ、一気に距離を詰める。砂煙を派手に舞い上げながらもレイナは残されたサンドゴーレムの下半身に大剣を振り下ろす。
「吹き飛べっ!!」
サンドゴーレムの肉体に振動する刃が叩きつけられた瞬間、衝撃波を生み出してサンドゴーレムの肉体を粉々に吹き飛ばす。その際に空中に赤色の光を放つ水晶玉のような物が出現し、それを見たリリスが声を上げた。
「レイナさん!!それがサンドゴーレムの核です!!破壊してください!!」
「これかっ!?」
空中に放り出された「核」をレイナは手を伸ばして掴むと、そのまま反対の腕で大剣を振りかざして破壊した。その結果、水晶玉は空中にて粉々になって消え去ってしまい、サンドゴーレムは完全に倒される。
どうにかデュランダルの能力を使ってサンドゴーレムの砂の肉体を吹き飛ばし、核を発見して倒したレイナだが、他の方のサンドゴーレムは既に団員と戦闘を繰り広げていた。
『ゴロロロッ!!』
『ゴロンッ!!』
「うわわっ!?こ、こいつら剣が効かないのか!?」
「た、助けてぇっ!!」
「きゅろっ!!離れる!!」
「ぷるるんっ!!」
団員の一人にサンドゴーレムが押し倒して押し潰そうとしているところをサンが止めに入り、彼女はサンドゴーレムの砂の肉体に対して無我夢中に腕を振り払って砂を払いのける。
しかし、いくら砂を払いのけようとしてもサンドゴーレムは足元の砂を吸収して体型を元に戻すと、煩わしいとばかりに腕を振り払ってサンを殴りつけようとした。
『ゴロォッ!!』
「きゅろろっ!?」
反射的にサンはサンドゴーレムの拳を回避する事には成功するが、その様子を見ていたリリスが急いで駆けつけ、彼女は自分の水筒を取り出す。
「だからサンドゴーレムには物理攻撃は効かないんですって!!そいつらを倒すには水を使ってください!!水を振りかければこんな風に固まって動けなくなるはずです!!」
『ゴロォッ!?』
リリスが水筒の水をサンドゴーレムに振りかけた瞬間、水を掛けられた箇所が変色し、水分を吸収した影響で固まったのか泥のように変化した。慌てて団員を押し潰そうとしていたサンドゴーレムは起き上がると、固まった箇所を削ぎ落とそうとする。
しかし、弱点を見つけたサンは自分の傍にいたクロミンに視線を向け、彼女はクロミンを両手で掴むと一気に腕に力を込めて左右から挟み込んで水分を吐き出させた。
「クロミン、みずてっぽー!!」
「ぷるっしゃあああっ!!」
『ゴロォオオオオッ!?』
「おおっ!?やりましたね!!」
クロミンの体内から吐き出された大量の水分をサンドゴーレムは全身に浴びてしまい、肉体全身が泥の様に変形して固まってしまう。
その様子を見たリリスは隙を逃さずに自分の白衣から薬品を取り出し、それをサンドゴーレムに投げつけると押し倒されそうになっていた団員とサン達を抱き寄せて伏せる。
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