第262話 団員との合流
「さあ、探索に戻りましょうか。他の団員を探しましょう」
「そうだね、でも大丈夫かな?さっきのリッチやリビングアーマーに襲われていないといいけど……」
「……いや、どうやらその心配はなさそうだぞ」
「きゅろっ?誰か近づいてくる!!」
レイナの言葉にオウソウは鼻を引くつかせ、サンは耳元を動かす。その二人の反応を見てレイナは前方の通路に視線を向けると、そこには複数名の団員が駆けつける姿が存在した。
「お、おい!!そこにいるのはオウソウか!!」
「リリスさんもいるぞ!!」
「それにレイナさんも……無事だったんだな!!」
団員達はレイナ達の姿を見て歓喜の表情を浮かべ、彼等の元に駆けつけた。どうやら無事だったようらしく、各々の身体が汚れてはいたが大きな怪我を負った者はいなかった。
人数は十数人は存在し、予想通りというべきか全員が別々の転移した後にこの古城を発見して訪れたという。
「ああ、よかった……皆さんも無事だったんですね」
「は、はい……ここまで来る途中、砂鮫に追い掛け回されたり、リビングアーマーに襲われた時は死ぬかと思いましたが」
「リビングアーマーとも遭遇していたのか。よく生きていたな、お前ら……」
「そ、そうだ!!こんな事を話している場合じゃない!!すぐにここから逃げましょう!!リビングアーマーに殺される!?」
「大丈夫ですよ。リビングアーマーも、それを操作していた死霊魔術師もここにいるレイナさんが倒したんですから」
『えっ!?』
リリスの言葉に団員達が呆気に取られた表情を浮かべるが、そんな彼等に対してオウソウはリリスの言葉が真実である事を証明する。
「その通りだ、こいつ……いや、部隊長がリビングアーマーと死霊魔術師を倒したのを俺は見ている」
「え?部隊長って……」
「オウソウ、お前……」
「……俺は二度も命を救われた、流石にもう命の恩人を乏しめるような真似は出来ん」
『えええっ!?』
オウソウの言葉に団員だけではなく、レイナ達も度肝を抜かれた。だが、オウソウ本人は本気でレイナの実力を認めたらしく、今までの無礼を詫びるために頭を下げた。
「部隊長、虫がいい話とは思うかもしれんが、どうか今までの無礼を詫びさせてくれ。俺はもう、部隊長の実力を疑わない事を誓う」
「いや、別に気にしてはいないけど……」
「し、信じられない……あの傍若無人なオウソウが謝るなんて……」
「傲慢の塊だったオウソウが認めるなんて……」
「こ、こいつ偽物か!?」
「貴様ら、俺を侮辱しているのか!?」
オウソウの殊勝な態度に他の団員達は信じられない表情を浮かべるが、そんな彼等にオウソウは恥ずかしそうに頬を赤らめながら怒鳴り散らす。だが、今まで反抗的な態度を取っていたオウソウがレイナに急に従う事を宣言した事で他の団員達のレイナの評価も変わる。
今まではリル達と仲が良く、勇者のお気に入りという理由で部隊長を任せられていたと思われたレイナだが、性格はともかく実力は確かなオウソウに認められたという事に他の団員達も改めて彼女の事を見直す。だが、今は他の団員との関係を改善するよりも重要な事があり、リリスが掌を叩いて話を戻す。
「はいはい、話はそこまでですよ。まだ全員が集まったわけではないんですから油断しないでください」
「そ、そうだな……ところでお前ら、他の奴らは見なかったのか?」
「いや、俺達は偶々ここで合流しただけで、他の団員は見ていないんだ」
「でも、ここから下の階層へは瓦礫う砂で階段が塞がっていて先に進めないから他の奴らが下りられるとは思えない」
「なるほど……部屋の中とかは調べました?」
「はい、俺達は逃げ回っていたので隠れられる場所を探すときにこの階層の部屋は殆ど入ってます。あ、だけどそこにある黒色の扉だけは入れなかったんですが……あれ?開いてる!?」
団員達の話によるとレイナ達が訪れる前に彼等はこの階層の事を調べつくしたらしく、レイナ達が発見した鍵で封鎖されていた武器庫だけは入れなかったようだが他の部屋は既に中に入って調査済みだという。そうなると他の団員がこの場所に入った残っている可能性は低く、未だに外の砂漠を彷徨っている可能性も存在した。
「ふむ、私たちがここへ訪れてからそれなりに時間は経過しています。それでもこに集まった団員は半分程度……という事は残りの人間は未だ外にいると可能性が高いですね」
「えっ!?じゃあ、急いで助けに行かないと!!」
「落ち着いて下さい、闇雲に外に出ても危険です。もしかしたら私達の後にここへやってきた団員もいるかもしれませんし、とりあえずは出入口の方へ戻りましょう」
「きゅろっ……ネコミン、ハンゾウも心配」
「ぷるぷるっ……」
既に避難していた団員達と合流したレイナ達は一旦出入口の方へ戻ることを決めると、通路を引き返して最初に入った出入口へと向かった。
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