第259話 剣の魔王の配下
「リリス、剣の魔王って……」
「……かつて勇者に滅ぼされた魔王の一人です。この魔王によって七大魔剣は作り出されたといっても過言ではない存在ですよ。ですが、剣の魔王はもう何百年も前に滅びた存在です」
『黙れ!!仮に魔王様が亡くなろうと、その魔剣は魔王様の所有物である事に変わりはないわ!!貴様ら如きが触れて良い武器ではない!!』
「貴様、まさか剣の魔王の配下だというのか!?」
何百年も前に亡くなったはずのバッシュが所有していた七大魔剣ムラマサがレイナの手に渡った事に老人は我慢ならず、彼は杖を振り上げて床に杖先を叩きつける。その瞬間、老人の影から黒色の触手のような物が誕生してレイナ達の元へ向かう。
『貴様らはあの御方の魔剣を汚した!!その罪、その命で償えっ!!』
「うおおっ!?」
「わあっ!?」
「うわっ!?」
「きゅろろっ!?」
「ぷるんっ!?」
黒色の触手がレイナ達に襲い掛かると、そのまま全員の身体を拘束して持ち上げる。大柄なオウソウやデュランダルを背中に抱えているレイナでさえも触手は軽々と持ち上げ、そのまま全身に絡みつく。
「ちょ、離してくださいよ!?触手プレイなんてシャレになりません!!特に私のレイナさんとサンになんて発禁物ですよ!!」
「何言ってるのリリス!?」
「ぐううっ……このっ!!」
「がぶがぶっ……(←触手に噛みつく)」
「ぷるぷるっ……(←締め付けられすぎて数字の「8」のように変化した)」
『ふん、無駄だ。影の触手はお前たちの力では振りほどく事は出来ん。さあ、魔剣を返してもらうぞ』
触手に拘束されたレイナは膨らんだ胸元を締め付けられて苦しみ、他の者たちも必死に振りほどこうとするが老人の言葉通りに力ではどうしようもできないのか引き剥がす事が出来ない。老人は触手を操作してムラマサを布越しに握りしめているレイナを引き寄せると、彼女を見てある事に気づく。
『んっ!?貴様、その黒髪と瞳……それにこの魔力の波長、あり得ん!!』
「えっ……」
『何故、貴様からあの忌々しい勇者の気配を感じる……そうか、貴様はあの憎き勇者の血筋か!?』
「ぐうっ!?」
レイナの魔力を感じ取った老人は過去に対峙した「勇者」の存在を思い出し、彼女の事を勇者の血筋を継ぐ人間だと勘違いした。実際のところはレイナ本人がこの世界に召喚された勇者なのだが、老人はレイナを勇者の所縁のある人間だと勘違いすると彼女の身体を棚へと叩きつけた。
『許せん!!勇者の血筋など、絶対に生かして帰すか!!』
「ぐああっ!?」
「レイナさん!!」
「貴様っ……うおおおおっ!!」
触手によってレイナは武器庫の棚に何度も叩きつけられ、それを見ていたリリスとオウソウは触手を引き剥がそうと暴れるが、物理的な力は通じないのかどうしようも出来ない。だが、クロミンの場合は身体の中に残っていた回復液を吐き出す。
「ぷるっしゃあああっ!!」
『何っ……ぶはぁっ!?』
「きゅろっ!!クロミン、凄い!!」
クロミンの回復液を浴びた老人は杖を手放してしまい、その結果レイナ達を拘束する影の触手の操作が出来なくなったのか触手の締め上げる力が弱まる。その隙を逃さずにレイナは痛む身体を我慢しながらも触手を振りほどくと、ムラマサを掴んだまま老人に振りかざす。
「だああっ!!」
『ぐおっ!?』
ムラマサで切りかかられた老人は咄嗟に杖で防ごうとするが、レイナの振りかざしたムラマサは杖を切り裂き、老人のローブをも切り開く。その結果、ローブの中から現れたのはレイナ達の想像を超える程にやせ衰えた老人だと判明した。
――老人の容姿は身体中が枯れ木のようにやせ細り、それでいながらあちこちの皮膚が剥がれ落ちていた。更に皮膚の色も若干黒く染まっており、よくよく確認すると、彼は自分の身体にレイナ達を拘束した触手を巻き付けて無理やりに身体を動かしていることが判明する。
生きているのが信じられないほどに衰弱した肉体を持つ老人にレイナ達は驚く一方、老人はクロミンに振りかけられた回復液を浴びた顔面を抑え、悶え苦しむ。
『ぐううっ……こ、このスライムがぁっ……儂になにしたぁっ!?』
「苦しんでる……?」
「そうか……こいつの正体が分かりましたよ!!こいつが死霊魔術師です!!私たちを襲ったリビングアーマーもこいつが作り出したんですよ!!」
「何だと!?」
リリスの言葉にオウソウは驚き、目の前で苦しむ老人の正体が死霊魔術師だと知ってレイナはどうするべきか悩む。今のところは苦しんで攻撃を仕掛けてくる様子はないが、先ほどの影の触手を再び操られると厄介のため、レイナは気絶させるためにムラマサの柄を老人の首筋に叩きつけようとした。
「このっ!!」
『がはぁっ!?』
レイナの一撃によって老人は地面に叩きつけられ、常人ならば気絶してもおかしくはない攻撃だったはずだが、それを見てリリスが注意する。
※危ない危ない……危うく成人指定の小説になるところでした(;´・ω・)
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