第258話 七大魔剣ムラマサ
「これは……間違いありません、この禍々しい気配は魔剣です。迂闊に触れない方がいいですよ」
「魔剣、だと!?こ、これがあの……!?」
「魔剣?」
リリスの言葉にオウソウは激しく狼狽するが、彼が何をそんなに怯えているのか気になったレイナは「魔剣」に視線を向ける。
(こういう時こそ……解析!!)
解析の能力を発揮してレイナは箱の中に隠されていた魔剣を解析の能力で見抜こうとすると、表示されて文字を見て驚く。
――ムラマサ――
能力
・呪力
・切断上昇
・魔力吸収
詳細:七大聖剣に対抗するために作り出された七大魔剣の一振り、この魔剣で切り裂かれた傷は癒す事は出来ない。元々の使い手は「剣の魔王」と呼ばれた「バッシュ・ツルギ」
――――――――
表示された文字を見てレイナは驚き、まず「七大聖剣」や「七大魔剣」という単語を見て真っ先にレイナは自分が所有する聖剣の事を思い出す。七大魔剣に関してはレイナが今までに見知った「聖剣」の事である事は間違いなく、この世界では7つしか聖剣と呼ばれる剣は存在しない。
レイナが作り出したのは「フラガラッハ」「デュランダル」「エクスカリバー」「アスカロン」の4つも七大聖剣に数えられ、その聖剣に対抗するために作り出したのが七大魔剣だとリリスは説明する。
「七大魔剣は歴代の魔王が聖剣に対抗するために作り出した魔剣です。その力は凄まじく、七大聖剣と渡り合える力を誇ります」
「七大聖剣と渡り合える……!?」
「最も現在では七大聖剣と同様に七大魔剣も損失したと聞いています。一説ではもう魔剣は破壊されたとも唱えられていますが……少なくとも1本は未だに健在だったようですね」
「こ、これがあの魔剣なのか……」
流石のオウソウも七大魔剣を前にすると顔色も青くなり、あまりの禍々しさに後ずさってしまう。リリスの方も少し怯えた表情を浮かべ、厄介な物を見つけてしまったという態度だった。
だが、レイナは目の前の魔剣を目にしても特に漆黒に染まった刀にしか見えず、クロミンの方も興味深そうに覗き込む。かつては七大魔剣として恐れられた武器だとしても、今はどうやら所有者は存在しないのか所有者の名前は表示されていない。
「リリス、とりあえずこの剣をどうするの?」
「見つけ出した以上は放置できませんね……あ、それと間違っても扱おうとしては駄目ですよ?魔剣というのは非常に恐ろしく、扱い方を間違えればとんでもない事態を引き起こしますからね!!」
「わ、分かったよ……でも、どうやって回収しよう?」
「ぷるぷるっ」
リリスの言葉に「ムラマサ」に直に触れないように回収するにはどうしようかと考えたレナに対し、クロミンが何処からか持ち出してきたのか布を口元に挟んでレイナに渡す。クロミンの気遣いに感謝しながらレイナは布越しにムラマサの柄を掴み、とりあえずは鞄の中にしまおうとした。
「よし、このまま中に……」
「ん!?」
「わあっ!?急にどうしたんですか!?」
レイナが鞄の中に魔剣をそっと入れようとしたとき、唐突にオウソウは鼻を引くつかせて扉の方を振り返ると、彼は警戒したように鍵爪を装着した。そんなオウソウの反応にレイナとリリスは何事かと振り返ると、いつの間にか扉の方角から人影が存在した。
開け放たれた扉から現れたのは全身をローブで覆いこんだ謎の人物であり、老人なのかローブから出ている腕はしわまみれ酷くやせ細っており、漆黒に染まった杖を握りしめていた。その人物を見てレイナはどうしてこんな場所に人がいるのかと驚いたが、とりあえずは話しかける。
「あの……」
『……なぜ、ここに人間がいる?』
「え?」
だが、レイナが尋ねる前に老人が赤色の瞳を怪しく光らせながら瞳を向け、彼はレイナが切り裂いた錠が落ちている事に気づく。それを見て老人は忌々し気に錠を拾い上げると、レイナ達に振り返った。
『まさか、錠を破壊して入り込んだというのか……貴様ら、何者だ?』
「あの……」
「私達は獣の王国の騎士ですよ。そういう貴方は何者なんですか?」
「答えろっ!!」
レイナが答える前にリリスとオウソウが老人に言い返すと、老人はケモノ王国という単語に眉をしかめ、杖を強く握りしめる。
『ケモノ王国だと……そうか、貴様らは外からやってきたのか。どうやってこの場所まで辿り着いたのかは知らんが、その魔剣は返してもらうぞ』
「返す?この魔剣の事を知っているんですか?」
『当然よ!!その魔剣は我が主、魔王様の所有物!!貴様ら如きが触れて良い武器ではないわ!!』
「剣の魔王だと!?」
「きゅろっ!?」
「ぷるんっ!?」
剣の魔王の名前を口にするとオウソウは驚愕し、リリスでさえも目を見開く。レイナも先ほどムラマサに解析を発動したときに出てきた名前だと気づき、この目の前の老人が剣の魔王の配下だと知った。だが、現在の所有者がムラマサに表示されていないという事は既に魔王はもうこの世には存在しない事を示しているはずだった。
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