第5話 ■共同生活初日1 

■共同生活初日1 


いつもの通学路には憂鬱のかけらも存在していなかった。

これまで歩んできた辛く険しい道を歩く気分から、花畑を歩く時の気分に切り替わった僕の心はとても穏やかだった。

なんといっても女子生徒達が来るのだ。

いつもの学校に着くと、これまでは男しかいなかった校舎に残された甘い匂いを感じ取ることができた。それは既に女子生徒達はこの学校に到着している事を意味しているようだ。

僕たちは教室へ行く前に体育館に集められた。

相変わらず校長が今日からのことなどをしゃべると思っていたが、

ステージの上にたっていたのは、20代後半に見える女性で、僕たちは一目で彼女が女子校の引率教員であることを悟った。


教頭からの紹介を受けた彼女はマイクスタンドからマイクを抜き取ると、その場に正座して、僕たちを驚かせた。

黒いストッキングをまとった足は細長く美しく、正座を行う動作さえ男子の目線をくぎ付けにした。

彼女がステージの真ん中に立つと、生徒一同はいつものように起立をさせられ、礼をして着席をした。彼女も正座すがたのまま首を垂れた。

「皆さま、おはようございます。 本日より短い期間ではございますが、皆様と共に学校生活を送れることを嬉しく思うと同時に、とても誇らしく思います。皆様の学校生活をよりよくするお手伝いをさせていただきたい思います。今日から私の教え子達はあなた達の下でご奉仕をさせていただいたり、様々な男性様のお気持ちを教えてくださることだとは思いますが、教え子たちはまだ男性とふれあった経験が無いものも多く、決して無理乱暴なことを要求しないように私からお願いさせていただきます。」

彼女はステージの上ではあったが、頭を深々と床に沈めるように下げた。

女性のあらたまった挨拶を見たことによって、僕たちも気持ちを更に改めた。

彼女は再び首を上げ、僕たちに視線を移し話をつづけた

「例えばですが、レイプ行為は犯罪で禁止されていますし、暴力、衣服などが破られるなどの行為ともに禁止とさせていただいておりますので、あらかじめご了承ください。

ただし、これらについても信頼関係を築いていき、互いが合意の下であれば、特例としてそれらは認められることになります。

きっと、いきなり私たちのような女が来校させていただき、どのように振舞ったらいいのかわからない男子学生の方もいらっしゃると思いますが、心配はなさらないでください。

当面の間、特に初日につきましては私どものほうからご奉仕などをさせたくいただきますので、わからないことや困ったことがあれば気軽に質問をしてみてください。

私からのご挨拶とお願いは終わりにしたいと思います。」


「起立!礼!」

彼女の話が終わるとまた一連の動作を皆が行った。その動作はいつもの校長にするものよりも、数10倍凛々しく輝いていた。


「では今から各教室に戻ってください。慌てたりさっき注意されたことなどしないようになー」

先生の声とともに僕たちはぞろぞろと体育館を後にして教室に戻った。


教室には既に女子生徒たちが座っていた。その場にいる者の全てが美しく、神々しく映った。

教室の席の一部は移動されていて、男子生徒一人に対して女子生徒が一人つくかのような形の机の配置となっていた。

僕たちが教室に戻ると、女子たちは一斉に立ち上がり緊張した面持ちで僕たちに笑顔を見せてくれた。

何もいやらしいことなどは、されてないはずなのに、想像以上の興奮に包まれた僕は、少し緊張しながら自分の席を引こうと手をかけると、隣の彼女が僕の椅子をひいてくれた。

「あ、ありがとう・・・」気持ち悪いほどひきつった声で彼女に礼を言った。

「どういたしまして」また彼女もたどたどしく答えた。

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