第21話「冒険者と銀貨 その4」
ジェフェリーたちは警戒を緩めずに進んで行く。
途中にゾンビが何体か現れたが、ことごとくをジェフェリーが屠っていく。
「な~んか、楽勝だな。もしかして、俺らって、スゲー強いんじゃねぇの」
「確かに、思っていたより弱いですね……」
ロックは不安気に思案していると、
「ね、ねぇ、なんか、変じゃない?」
魔法使いのセシリアから声が上がる。
「この洞窟ってギルドの教本で見たとき、いくつか分かれ道があったのに、さっきから、ずっと一本道だよ」
「そりゃ、あれじゃないか。お前が思っていたより、実際は広かったか、ランクの高さにビビッて、いつもより体力を消耗してるからかなり進んだように感じているんじゃないのか?」
「そ、そうなのかな……」
セシリアは自信なさげに、ぎゅっと魔法使い用の杖を握る。
「ジェフェリー、私も、セシリアを信じて一度戻ってみるべきだと思いますよ」
「大丈夫、大丈夫、もう少しだけ進んでみようぜ。そこでもまだ一本道なら、そのとき戻ろうぜ!」
そのとき、新たにゾンビのうめき声が聞こえ、討伐すべく、ジェフェリーは駆けだす。
「ちょっ!!」
一方的に会話が終了し、仕方なく、ロックとセシリアはジェフェリーの言葉通り、もう少しだけ先へ進むことにした。
※
「ねぇ、やっぱり変だよね」
どこまで行っても一本道の洞窟にセシリアだけでなく、ジェフェリーも不安を覚え始める。
「確かに、おかしいな。一度、戻ろう」
ようやく2人の意見を取り入れ、洞窟を戻ろうとしたその時、
「あ~~、あ~~」
ゾンビの呻き声がなぜか後方から聞こえてくる。
「おいおい、一本道で、ゾンビは全部倒しながら来たのに、なんで後ろから来るんだよ。セシリア、早く下がれ!」
「やはり、何か罠が仕掛けられていたんでしょう!」
魔法使いを後衛にするべく、軽装な武闘派僧侶のロックが素早くゾンビに立ち向かう。
「「あ~~、あ~~」」
進行方向からも新たにゾンビが出現し、ジェフェリーたちは挟み撃ちにされる。
「こっちからもかよ! セシリア、援護を頼むぜ!」
ジェフェリーは前方の敵に斬りかかり、ロックもゾンビを討ち漏らしなく倒していく。
セシリアは絶妙なタイミングで2人を援護していく。
3人は幼少の頃からの付き合いな為、息がピッタリとあった連携を見せた。
ゾンビは全て頭部を破壊され、その場に崩れ落ちる。
3人はそのタイミングで洞窟を出ようと掛け出すのだが、それを防ぐように再びゾンビが現れる。
「チッ! 次から次へと。だが、強さは大したことないんだ。押し通らせてもらうぞっ!」
ジェフェリーはバスターソードを構えると、不意に横の壁が消え、通路が出現した。
「なっ!?」
そしてそこからもゾンビが溢れ出し、ジェフェリーと2人は分断される。
どれだけの時間戦っただろうか、倒しても倒しても現れるゾンビに3人は疲弊しきっていた。
「クソ! 切りがないっ!!」
そんなとき、さらに新たに現れたゾンビの後方から、しゃがれた声が聞こえてくる。
「ふぉっふぉっ。なかなかに強い冒険者のようじゃの。どれ、ゾンビナイトお前も行け」
声と共に、甲冑を纏ったゾンビがジェフェリーの前に立ちふさがった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます