第14話 スクラヴォス・ガウラスの手記 4
エレウシスの秘儀から数週間
私は兄さんと共に不平等な世界を是正する為の旅をし続けている
心のどこかで諦めていた兄さんとの旅をする事ができる、共に歩めるそれが何より、私にとっては身に余る程の幸福だ。
MM地区支部の彼等の力添えもなかったら今頃こうしていなかったのかもしれない、
兄さんを奈落の底……死の運命から救い出し、道を正したのは今でも後悔していない。
以前に見つけた羊肉を食べる事の出来るレストランも2人で飲む為のワイン……旅をしていると保存がしにくい為少量にはなったが、いつも感じていた物足りない風味もボヤけたような味も今ではハッキリと味わえている。
十数年以上も贅沢をしていなかったからなのか、どのように贅沢をすれば良いのか全くもってわからなかったが、それはこれから兄さんと共に考えていこう。
………兄さんが幸福ならば私は幸せだ
だから、私の幸福は後回しでいい。
兄さんの傍にいて支えることもできなかった、何よりあの時に兄さんの傍で止める事も救う事もできなかった、それは私自身の罪だから。
アリオンにも心配そうに声をかけられたが、兄さんには言わないようにと告げると、苦しそうな辛そうな声でそれを了承してくれた。
……すまない、アリオン
これは、MM地区の彼らにも言うことは出来ない、彼らに迷惑はかけられん……
………これは、私の背負うべき十字架だ
END
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