第二章 ゴーストリック失踪事件ー出羽麗奈の部活動ー③
そんな訳で、部室を出て千菜ちゃんに教えてもらった建物へと向かう。
場所自体はそこまで遠いところじゃない。ま、当然だよね。自由に動けるっては言ってたけど、流石に電車で移動する場所までは行けないと思うし。幽霊の触媒にもよるんだけどね。ポケットに入れられるサイズのキーホルダーとかに憑りついてる霊なら、自分で持ち運べるからそれだけ移動範囲も大きくなれる。でも、それだって無限って訳にはいかない。
自由に見えても幽霊って実は制約だらけの存在なんだよ。
と、ちょうど校舎を出た辺りで円がスマホを取り出した。
「念のために清佳さんにも連絡を入れときますね」
「ていうかさ、結局来なかったね。今日は清佳が呼んだのにさ」
「あ、返事が来ました」
そう言って円がスマホの画面を見せてくる。
なになに……、
『ごめんごめん!』『昨日の黒谷の件を知り合いの探偵関係から聞いてたら遅くなっちゃった‼』『こっちが終わったら私も合流する‼!』
「……そういえばさ、マスターってどういう扱いになったの?」
「ニュースを見てないんですか? 黒谷容疑者は警察官に発砲したのち、銃を持ったまま逃亡ってことになっているようです。場所が場所だけに結構大騒ぎになっていたはずですけど」
ふぅん。そういう感じになったのか。
きっとタイガーが巧いように話したんだろうね。事実はどうあれ、あの光景をそのまま話す訳にはいかなかったんだろうし。ぷぷぷ。タイガーの苦汁を飲んだみたいな表情が目に浮かんできそうだよ。
そんな話をしていると小学校の集団下校を見つける。
なるほどなるほど、十人単位の集団に先生っぽい大人が三人も付いてるね。一週間で一〇人も子供が誘拐されて、犯人が銃を持って逃亡中ってニュースになってようやくって感じだけど。
ま、今の私には関係ないか。
マスターを連れてったあの幽霊も、恨みを晴らしたからあの後に成仏したし。
あの骨壺に入ってたのは三年前の被害者だけだったから、結局子供の遺体の行方は分からなかったけど、そっちは警察がどうにかしてくれるでしょ。
「麗奈さんは安斎さんが言っていたこと、どう思っています?」
「力を増やしたい霊媒師の仕業って線が妥当じゃない?」
「でも、建物越しに幽霊を吸い込むなんて聞いた事もありませんよ。それに、幽霊を拉致して何に使うつもりなんでしょうね?」
「どゆこと?」
「悪霊にしてもただの幽霊にしても、人の手で操れるものではないでしょう? 霊媒師は必要な情報を持ってる幽霊とコンタクトを取るだけですし、呪術師だって悪霊の怨念を曲解させなければ対象を呪い殺すことも出来ません。その辺の幽霊を捕まえただけじゃ、何かの成果に繋がるとは思えないんですよ」
言われてみれば。
確かにちょっと感覚が麻痺してたかもしれない。
「もしかしたら今回の相手は御三家から斜め上方向に派生した組織かもしれませんよ。幽霊という存在のエネルギーから直接的に力を得ようとしてるのはあそこぐらいですし」
「そう言ってる円の神泉家だって御三家の一つじゃん」
御三家ってのは、オカルトの世界に住んでる人なら知らない者がいないほどの力と権力を持つ三家の事。その気になれば各家の当主三人だけで日本を掌握できるだけの実力があるっていうんだから、もう化け物としか言えないよね。
「だから私もこうして来ているんじゃないですか。万が一にでも身内の不始末なら、それこそ大問題ですから」
「まーね。本当に御三家が関わってるんならヤバいもんね」
なんせ、今の私は霊能力バトルができるだけの武器を持ってないんだし。鞄の中には一応サバイバルナイフが入ってるけど、さてさてこれで戦えるかな?
校門を出て住宅街の中を進む。
『自然との共存』っていう謎政策のおかげなのか、視界の中にオフィスビルが建ち並び始めても、あちこちに緑が散らばってる。自然が環境に良いのは認めるけどさ、明らかに負の部分がオーバーキルしてるよねぇ。チマチマ植木をしたところで自動車一台分の排気ガスすら浄化できないんだから。本当に環境を考えてるなら、ビルを全部潰してこの一帯を森にした方が目に見えて分かる結果になると思うんだけどなぁ、と今どきのJKらしくない思考に流れる。
「あれですね。例の建物」
「霊が吸い込まれた例の建物だね」
「……、」
「やめて! そんな目で私を見ないで‼」
今どきのJKらしくない思考をしてたせいで、今どきのJKらしくない返答になっちゃったよ! ごほんごほん……っ、思考を切り替えなくちゃ。
「……見た所、普通の雑居ビルに見えるね」
三階建ての、いわゆるって感じの古い雑居ビル。
二階と三階を繋いでる階段の踊り場から看板はぶら下がってるけど、今はもう閉店してるのか装飾もしてないし手入れをしてるって様子もない。どうも、店を閉じてからかなり時間が経ってるみたいだね。
「でも、公には出来ない何かをするには丁度良いとは思いませんか?」
「逆にあからさま過ぎない? これじゃ自分で『何かやってます!』って言ってるみたいなもんじゃん」
文句を言いつつビルへと近づく。
人が居る気配はないね。
薄暗くなってるこの時間でも電気は点いてないし、換気扇も動いてない。
「どうします?」
「入るしかないんじゃないかなー」
一応周囲を確認してから一階部分の扉の元へ。
鍵は……掛かってない。ノブに手をかけただけで簡単に回っちゃったよ。
なんていうか、全体的におざなりだなぁ。警備の人間もいないしセキュリティ対策もしてない。これじゃ調べてくださいって言ってるようなもんじゃん。
外から見てもボロボロって印象だったけど、中も中で酷いねこりゃ。誰かに荒らされてる訳じゃないんだけど、ガサツな研究員が一年間外に出ませんでした。みたいに、生活感ともう一つ別の何かがゴチャゴチャに混ざってる。
部屋の大きさは一五畳ぐらいで、部屋の壁に沿うようにホームセンターで売ってるような組み立て式のスチール棚が敷き詰められている。怪しげな薬品とかが置いてある訳じゃない。この部屋からは科学的な匂いは感じない。
スチール棚の中に入ってるのは、白木で作った長方形の箱のような物。高さは二〇センチぐらいで奥行きは一〇センチ未満ってところかな。
……なんだっけこれ。見た事はあるんだけど名前が出てこない。
「霊璽(れいじ)ですね」
「霊璽って……、神道の? 死んだ人の魂を宿らせるとかいうやつ」
「そうです。個人の御霊を霊璽に移して祀る事で神霊化させて、その家の守護神にするものなのですけど……」
円が困惑している理由は何となく分かるよ。
周りをぐるりと見回す。
その霊璽が、部屋の壁いっぱいに置かれたスチール棚の中にぎっしりと詰まっているんだからね。数でいえば一〇〇を軽く超えてる。
「実はこのビル全体が集団墓地みたいな場所だったとかみたいな?」
「可能性としては否定できませんけど、それにしては雑な内装です。霊璽を祀る祭壇に必要な道具一式は揃っていませんし、何よりこの霊璽自体が本物ではなさそうです」
そう言って円は近くにあった長方形の箱を持ち上げる。
中に入っていたのは文字が刻まれた板。
「……書かれている文字はきちんと神道に則ったものですね。正式のものかは分かりませんけど霊号まで割り振られています」
「んー、だけどそれってどう見てもプラスチックだよね」
円が本物じゃないって言ったのも多分これが原因。
ま、オカルトの世界においては本物とか偽物ってあんまり関係ないんだけどね。素材に良いのを使ってるからって良いご利益が受けられる訳でもないし。大事なのは形状と用途なの。
要は偶像崇拝と同じ。
キリスト教の人間が十字架をぶら下げてるけど、あれだって神から恩寵を受けた至極の一品じゃない。それが本物じゃなくても、偶像としてきちんと作られた物だったら神の恩恵が宿るっていう考え方に基づいてなんだよね。
それが正しいかどうかは誰も分からないんだけどさ。
幽霊って存在が普通に居て、科学的にも証明されたこの世界だけど、だから神様まで存在してるって結論に至るのは早計だよねぇ。
ま、私だって神様を信じてないとは言わないけどさ。
「恐らく、安斎さんがこの建物に入れなかった原因はあれかもしれませんね」
そう言って円が指差したのは、入り口の扉の上から垂れさがった幕。
確か水引幕とかいう名前だったと思う。体育館とかのステージの上にも幕があるじゃん? あれの白黒バージョンみたいなやつ。それが端と端を画鋲で固定されて壁に張り付けてある。
「あの幕は区切りとして使われているようです。本物の神道でも、あの幕より内側は神聖な場所になるという印に使われていますので、それの応用といったところでしょうか」
「でもさー、メグって幽霊は建物の中に吸い込まれたんでしょ? あれが幽霊を弾くんだったら辻褄が合わなくない?」
「それは……、呼びこまれたかどうかの違いですね」
「??」
「霊璽を祀る祭壇にも水引幕は使われています。ですが、中を神聖な場所として区切ってしまうと故人の霊すらも弾かれてしまいますよね。そうならないように、霊璽には宿らせたい霊の名と番号を刻むのです」
「ははーん。それで呼ばれちゃった霊は例外扱いで進入できるってね」
円の言葉が正しいんだとしたら、この霊璽が幽霊を吸い込んだ現象の正体って事になる。きっと、御霊を宿すっていう性質を派生させて、幽霊を吸い込ませる道具にでも捻じ曲げたのかな?
誰がどんな目的でそんな面倒な工程を踏んでるのかは分かんない。
ぐるりと部屋の中を見回す。
目に入ってくるのは大量の霊璽と水引幕だけ。
その他にこの部屋の中には手掛かりになりそうな物はなさそうだなぁ。根掘り葉掘り探しまくったら何か出てくるかもしれないけど、後は時間との勝負になるかもね。どんなタイミングでこの部屋の主が帰ってくるか分からないから、さっさとやらないと鉢合わせて大変な事になっちゃうよ。
とりあえず、適当に写真でも撮っておこうかな。
この霊璽に個人の御霊が入ってるなら心霊写真になるかもじゃん? 世の中は空前の幽霊ブームって事で、心霊写真とかそういう系のネタって高く売れちゃうから小遣い稼ぎには丁度いいんでございますよ。
特に、私や円みたいなオカルト側の人間なら心霊写真撮り放題だしね。
制服のポケットからスマホを取り出す。
そこで気が付いた。
「あれれ……? 圏外になってる」
おっかしいなぁ? この建物に入るまでは繋がってたと思うんだけど。
一瞬、通信妨害とかジャミングって言葉が頭をよぎったけど、このボロビルにそんなハイテク機材を置いてるとは思えない。
ていうか、意図的に通信を遮断している理由がないよね。
ここで何かのオカルト的な実験をしていたんだとしても、外部との連絡手段がないって相当面倒だと思うんだけどなぁ。こんな数の霊璽を集めるのは一人じゃ大変だろうし、だったら何人かのグループの仕業の可能性って方が高いんだから、一般的な通信回線はどうしても必要になってくるはず。傍受を警戒して無線とか専用の通信機とかを使っちゃうと、逆に購入履歴で痕跡を残しやすくなっちゃうし、結局は簡単に傍受されちゃうからって理由で、わざわざ高い金を出してまで使うグループは少ないって話も聞いた事あるし。
「円のは生きてる?」
「私のも圏外です。確か、麗奈さんのとはキャリアが違っていましたよね?」
……なんか、嫌な感じがする。
こめかみの辺りに針を突き立てられてるみたいな、汗が噴き出てくるんじゃなくて、じんわりと滲んでくるみたいな気持ち悪い感じ。
きっとその感覚に襲われていたから、気付くのが遅れたんだと思う。
この一室の中央。
今まで何も置かれていなかったはずの空間に突然、テーブルが現れていた事に。
「……っ! 円!」
今度こそ、冷や汗がドバっと溢れてきた。
やっばい! これは流石に想定外だったッ‼
空回りしかけた思考を何とか理性で制御した私は、円の腕を握って出口の扉まで駆けだす。
「ちょ……、れ、麗奈さん⁉」
何も気づかず、感じてなかった円は私の急な行動に驚いてるみたいだけど、今はいちいち説明してる時間はないんだから我慢して!
この部屋の大きさはせいぜい一五畳。本気を出して走れば花の女子高生だって一〇秒もかからないで端から端まで行き来できる距離。その間にも背中越しに嫌な感覚は膨らんでるけど気にしている余裕はない。入ったら最後で二度と出れない呪いのドア、みたいなトラップはなかったから、入ってきた時と同じようにノブを回さなくても開けられるドアへ体当たり気味に身体をぶつける。
やっぱりドアは簡単に開いて外に出られた。
外に出た私たちはドアを閉める。
……危なかったぁ……。まさに危機一髪って感じだった。
「はぁ……っ、はあ……。れ、麗奈さん……?」
息切れしながら円が私の名前を呼んでる。
「普段からスナックばっかり食べてるからから体力ないんじゃないの?」
「……いきなり、腕を引っ張られて走り出されたらっ、誰だってこうなります……っ!」
「いやー、ごめんごめん。でもさ、この麗奈ちゃんに命を救われたっていうのを忘れないようにね。具体的に言うとご褒美はケーキ的なものがいいな」
「はあ……っ、な、なにを言って……」
「ま、あと一〇秒で分かるよ」
円からの反論を遮って私は目線をさっきまでいた部屋へ向ける。
「カウントダウンするから目を瞑ってた方がいいよ。いくら窓越しっていっても、相当の光量っぽいから失明しちゃうかもね。ほら。さーん、にー、いーち、ぜーろ」
「え、ちょ……っ、何が……?」
――それは起こった。
ドバッと、馬鹿みたいな量の光がさっきまでいた部屋の窓から溢れ出た。
私と円の視界が、真っ白に染めつくされる。
「……………………」
「……………………」
数秒ぐらいだったかもしれない。もしかしたら数分だったかも。それぐらいの間、私たちは白い光に飲み込まれていた。前も後ろも分からなくなって膝を崩しそうになる。目は閉じていたはずなのに光が透けて、瞼の内側から焼かれているような錯覚まで感じる。
きっと私と円の姿は、他の人達からは不思議に思われてるんだろうなぁ。
先に動いたのは、ある程度覚悟していた私より円の方だった。
円め、自動防御機能の付いた御札でも隠し持ってるな。
「今のは、霊的なエネルギーを使った爆弾ですか……?」
「……か、もね」
私は右腕で顔をゴシゴシと拭きながら言う。
「円は気が付かなかったかもしれないけど、いきなり現れたテーブルの上にはとんでもない量の霊力が詰まった霊璽が置いてあったの。爆発っていうよりは内に溜まってた霊力を放出したって感じかな」
普通の幽霊一体からじゃ、あそこまでのエネルギーは確保できないから、少なく見積もっても数十体分の霊力はあったと思う。それだけの霊力を集めるのは簡単な事じゃないんだけど、それを可能にできる物を私たちは既に見てる。
「……多分、あそこにあった霊璽はこの爆弾を作る装置の一部だったんじゃないかな」
「あらかじめ吸い取る霊を定めた状態で霊璽を置いておき、吸い取った霊璽から霊力爆弾へとエネルギーをコンバートさせている、と?」
「だと思う」
「……それは、ゾッとする話ですね」
まったくだよ。一体、どこの誰がこんな悪趣味な物を作っちゃったんだかねぇ。
制作者の意図は分からないけど、この霊力爆弾の一番恐ろしい部分はさっきみたいな威力じゃないの。
ここ重要ね。
本当に注意しなきゃいけないのは、この爆弾の出現に私しか気が付かなかった事なの。幽霊部の中じゃ私や清佳より下とはいえ、円の霊感だって一般人よりは大が三つ付くぐらいには強い。その円が気付かないんじゃ、そこら辺の人間が気付けるはずもない。
爆弾も、その爆発すらも霊感が弱い人間じゃ認識できない。
そして周りも本人すら気が付かないまま蒸発してしまう。
誰も見てないんだから犯罪とも思わない。明確な犯人はきちんと存在してるのに行方不明とか失踪って感じで扱われて、はいお終い。
……ほんと、悪趣味としか思えないよ。
「私たちはまんまと罠にハマった、という事でしょうか」
「いんや、そうでもないと思うよ。敵さんにとってもここは製造現場の一つだったんだろうし、出来ればこんな事で壊したくはなかったんじゃないかな」
「どういう事です?」
「大量の霊璽にしても霊力爆弾にしても、そうそう簡単に集められる物じゃないじゃん? 数十体分の霊力を集めるにはそれと同じ数の霊璽と幽霊が必要になってくる訳だし。威力と効果は凄いけど大量生産できる兵器じゃないって事」
オカルトの世界に詳しい人なら常識なんだけど、幽霊の数ってそこまで多い訳じゃないんだよね。世界の人口が八〇億人だとしたら、幽霊の数は一パーセントにも満たない。仕方ないんだけどね。幽霊になるにはそれなりの条件があるっていうし。
さっきの爆弾に数十体の幽霊を使ったんだとすれば、もう一度同じ物を作るにはかなりの時間と労力を使うはめになるはず。そもそもこの街の中にそれだけの幽霊が存在してるかも分かったもんじゃない。だから、わざわざ完成した爆弾と製造所を潰すなんて、私たちの来訪がよっぽど予想外だったんだそうね。可哀想に。
「それにしても」
私は爆破跡みたいになってる部屋の中を覗き込み、
「やってる事はインテリ臭漂ってるっていうか、長年オカルトの世界に居なきゃ思いつかない事のはずなのにさ、なーんか素人っぽい感じしない?」
「素人っぽい、ですか?」
「だってさー、ここまで馬鹿みたいな威力のトラップを仕掛けてるわりには扉に鍵も掛けてないし警備の人間もいないじゃん。万が一にでも爆弾の存在に気付かれたら、こうやって簡単に逃げられちゃうのにさ」
「それは……、言われてみればそうですね」
「せっかく水引幕を使ってるんだからさ、私だったら『神聖な場所に入った者は許可なく退出を禁ずる』って感じに区切りの定義も変えちゃうのに、それもしてないじゃん」
「……うわー」
「はいそこ引かない! あくまで仮定の話なんだからね!」
とはいっても、ここを使ってた人たちが凶悪な兵器を製造しているのは事実。さっきは製造に時間が掛かるって言ったけど、もしかしたら第二第三の爆弾はもう完成してるって可能性もあるし、あんまりのんびりとはしていられない。
このまま放っておけば史上最悪のテロ事件にも発展しかねないからね。
「うーむ。メグって幽霊を探しに来たはずなのに、面倒くさい事件に巻き込まれそうな気がしてきたぞ」
「もうとっくに巻き込まれてましたよ。安斎さんが来た時点で」
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