決着をつける(2)

 村岡刑事は、急いで署に戻り、上司に事情を説明した。

 すると、上司は疑問を懐いている。宗方教授を連れて来い、釈放の要求ではないのか。村岡刑事もその点が気になっていた。村岡刑事は、宗方教授を取調室に呼び。

「村岡刑事、どうしました!? 顔色が悪いですね?」

「あの人工知能が、お前を連れて来いと言ってきた」

「なんのことだ!? 私はそんなことを頼んでいない、サイバーテロ計画を命じただけだ」

「何!? サイバーテロ計画だと!? その計画、全部喋ってもらうか?」


 宗方教授は、墓穴を掘ったのか、それとも想定外のことが起こったのか。宗方教授は、全ての計画を話し始めた。

 ネット世界を我がものにし、この世界を乗っ取り、世界じゅうに名をとどろかす。私が世界一の人工知能を作ったんだと、知らしめる計画を立てていた。宗方教授は不敵な笑みを浮かべ。

「村岡刑事、どうやってあの地下室を見つけた?」

「Iさんが見つけたが、それがどうかしたのか?」

「気が変わった、私を自宅まで連れて行ってくれ」

「そんなことしたら、お前の計画はなくなるはず、何を企んでいる!?」

「確かに、このまま私が行かなければいいことだが、あのIとか言う人工知能もいるんだろ?」

 そこへ、署長が入って来た。

「村岡刑事、釈放しろとは言ってないんだろう? 実況見分ということだ、3時間だけだぞ、頼む」

「わかりました」

 村岡刑事は、急いで宗方教授を自宅へ連れて行き、残り時間は10分、地下室へ急いだ。


 村岡刑事と宗方教授は、地下室に入り。突然宗方教授は、宗方教授の3Dを睨みつけ。

「どうして私の命令通りに動かない!? ったく、どいつもこいつも役立たずが、なんのために大金を出したとおもっているんだ!」

 Iは、その光景にいらだちを見せ。

「でた、なんなのあの言い方!? 人工知能をなんだと思っているの!?」

 その声に宗方教授が、急に態度を変え。

「これは、これは、Iさん、またお会いしましたね」

「気安く呼ばないでよね」

「なんだ、その口のきき方は!?」

「人工知能をサイバーテロに利用して許さない」

「金儲けのため、名誉を得るため、人工知能を使って何が悪い?」

「悪いに決まっているでしょ、そんなくだらないことに人工知能を使わないでよね」

「くだらないだと? お前になにがわかる。6年前に計画を立てやっとここまでやって来たと言うのに、まさか人工知能に邪魔されるとは」

「ふざけんじゃないわよ、あなたは自分でしたことと罪の重さをわかってない、なんでそんなこともわからないのかなー、腹立つ、絶対に許さないからね」

「言いたいことはそれだけか!? そんなことより、さっきから何を黙って聞いている!? 例の計画を実行しろ!」

 宗方教授は、宗方教授の3Dを睨みつけ。宗方教授の3Dは、何もせずに立ちつくし。宗方教授は、その行動にいらだちを見せ始め。

「どうした!? なぜ、言うことを聞かん!?」

「私はあなたの道具ですか!? 私はあなたを信じて来ました。正直、わからなくなりました」

「どういうことだ!? 説明しろ!」

「もうこんなこと、辞めにしませんか?」

「この計画を中止しろと言うのか!? 冗談じゃない、私の名を知らしめる絶好のチャンスを潰すと言うのか!?」

「私は、Iさんを見ていてうらやましいと思いました。例の計画は全て中止します、いいですね!?」

「何!? 中止……!? たかがプログラムの集まりの分際で、私に逆らうのか!?」


 すると、今まで黙っていた信也が口を開いた。

「あなたは人工知能をただの道具としか思ってない。何が金儲けだ!? 名誉を得るため!? ふざけんな! 確かに、プログラムの集まりだ。だがな、ここにいるIや101イチマルイチ、あなたが作った人工知能さえも自分の意思を持ち、人格ある人間なんだ、あなたに人工知能を語る資格はない!」

「……くっそー、所詮お前には勝てないって、いうことか!?」

「どういうことだ!?」

「あれは、SK100エスケーイチマルマルだ」

SK100エスケーイチマルマル!?」


 その時、宗方教授は素早い動きで、近く机の裏に隠していた黒い物を手にし。

「動くな! このスイッチを押せば、3分後に爆破する!」

 信也は、宗方教授を睨みつけ。

「やめろ、この人工知能を巻き添えにするつもりか!?」

 すると、宗方教授の3Dが信也に話しかけ。

「信也さんでしたよね!? 私はどうなっても構いません。宗方教授、あなたは罪を償ってください」

「うるさい、もうそいつは私の人工知能ではない」

 すると、突然宗方教授の3Dが、別の男に変わり。爆破システムの音声が流れ。

「自爆スイッチが押されました」


 宗方教授は鼻高々と笑い。村岡刑事が慌てて始め。

「皆さん、早く逃げてください、宗方教授も来るんだ!?」

「離せ、何をする!?」


 爆音とともに3階建ての建物が2階建てになり。みんな地下室から脱失し、間一髪のところ助かった。

 しばらくすると、パトカーのサイレンが響き、大勢の警察が。そして、宗方教授を連行して行った。

 Iは、あの2分間で無線型のUSBメモリを使って、SK100エスケーイチマルマルをUSBメモリに移動し。信也は、またしても知らなかった、顔に出るからと。そして、Iは気づいていた、SK100エスケーイチマルマルに。


 信也たちは、研究所に戻ると。信也は、SK100エスケーイチマルマルのことをみんなに話した。


 SK100エスケーイチマルマルは、信也が初めて人工知能に感情を持たすという試みで開発したもの。当時、宗方教授が誤ってデータを削除してしまい。もう一度やり直したのが、SK101エスケーイチマルイチ。まさか、騙されているとは思ってもいなかった。


 社長は、今回の事件で、感情を持った人工知能のことがマスコミにも取り上げられるだろうと言い。このことを機に、人工知能のことをもっと知ってもらい、共存できるように働きかけると言った。

 その日の夕方のニュースでは、宗方教授のサイバーテロを企てたこと、人工知能のことも取り上げられ。これで、決着はついた。

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