Iの危機(6)

 信也たちは、一旦、リビングへ集まり、飲み物を飲んで一息入れていると、社長が首をかしげ。

「一体なんだったんだ、あれは?」

 Iは、用心に越したことはないと、追跡システムを作動させていた。宗方教授の3Dは、宗方教授の自宅にいると言う。

 信也は、101イチマルイチを助けられなかった、悔しさを抱えていたが。

「あそこは、家宅捜索して何も出なかったはず。そうか、地下室か!? あそこにも地下室があるのか!?」

 社長はさっそく、村岡刑事に連絡を取り。工藤は、信也に何かを渡した。

「これは、USBメモリ……そういえば、あの時、もしかして」

「今回、新しく開発したもので、Iの考えたシステムを使って、101イチマルイチを丸ごと移動しました」

「えっ!? 本当に!? でもどうして、それを」

 Iは、ここぞと2人に割り込み。

「だって、私がいなくなったら、泣く人がいるから、ね!?」

「泣く!? 誰が?」

「あれー、泣いていませんでした? おかしいなー」

 今度は、工藤が2人に割り込み。

「Iそれくらいにしたら? 私だっていやですからね。いなくったら、恋のライバルでしょう?」

「えっ!? やっぱりそうなの?」

「Iの癖がうつったの!?」

「またまた」

 すると、信也が割り込み。

「すみません、私のことで盛り上がっていませんか?」

「……」

「無視ですか?」


 そんなこんなで、明日、村岡刑事と一緒に今後どうするか、打ち合わせをすることになった。


 信也たちは、夕食がすみ、信也は自分の部屋へ行こうとすると。

「あれ? 何か忘れているような、あっ、そうだ、希さん、Iのハードと同じ物ってあります?」

「Iの要望で、10台分あります」

「もしかして、101イチマルイチのことですか?」

「そうです、忘れていて」

 すると、Iがそのことについて、私にお任せくださいと言い。信也は、自分の部屋に戻った。


「I、どうかした?」

「何が?」

「なんか、急に礼儀が」

「変だった?」

「そうじゃなくて、責任感っていうのか……」

「なんかね、ちゃんとしなきゃ、って思って」

「そうなんだ」

「でも、私たちって、いいコンビだよね」

「確かに、そうだね」


 この時、爆破事件は、ニュースで放送されていた。

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