Iの危機(2)

 翌朝、不安の中、社長宅では村岡刑事も加わり、社長と信也、Iと希は、村岡刑事の運転する車に乗り込み、あのビルへ向かった。Iだけは不安はなく、勝負に勝てばすむことだと言っていた。


 村岡刑事が運転する車内では、村岡刑事が信也にこんな質問をしていた。

「木村さん、ブレーカーを落としてもダメなんですか?」

「ダメですね、バッテリーを装備していると思し、それをトラップにしていたりする可能性もあと思います」


 午前9時30分、村岡刑事が運転する車は、あのビルに着き。確かに、Iが勝負に勝てばすむこと。しかし、あの人工知能を作った宗方教授、何を企んでいるのか油断は禁物。信也は、そのことをIに伝えると。Iは、めずらしく少し緊張している様子だった。


 信也たちは、あの地下室に向かい、信也が先に降り。そのあと4人も降りて行き。

 すると、モニター画面にあの男が現れ。

「時間通り、逃げなかったことは褒めてあげましょう。ギャラリーが増えても勝つのは私ですから」

 Iは、モニター画面の男を睨みつけ。

「ふざけないでよね、あなたみたいな人工知能に私は負けないから」

「Iさんですね!? 初めまして、ではないですが、勝負に負けたら消えてもらいますから」

「私は、消えません。それに、あなたとは初対面ですから、話しはこれぐらいにして、勝負方法は?」

「……そうですねー、頭脳勝負といきましょうか!?」

「頭脳勝負!? いいでしょう。もし私が勝ったら、ネット犯罪は中止してもらいますからね」

「わかった、約束しょう。Iさんのモニターは7インチ、私のモニターは40インチ。こちらのフィールドで勝負というのは!?」

「わかりました、それでいいです」

 信也は、Iに油断するなよと言い。Iは、40インチのモニターに移動すると、工藤はIを応援している。その光景に、モニター画面の男は、余裕の態度を見せ。

「応援結構、私には必要ない」

 対面する2人だが、Iは、モニター画面の男の名を知らない。

「あなたの名前は?」

「名前!? そんなものはない」

「寂しいですね」

「寂しいだと!? まあいい、さあ、始めるぞ」


 勝負方法は、ゲーム。5番勝負の5回戦で、先に3勝した方が勝ち。全てのゲームは、名もない人工知能が決める。

 すると、村岡刑事が首をかしげ、名もない人工知能を見ている。

「質問、なんでゲームですか?」

「なんで!? 人工知能の一番武器はなんでしょう?」

「計算が早いとか!?」

「それは当たり前のこと、データの記憶力ですよ、言っときますがパソコンと一緒にしないでください。人工知能はそのデータをいかに早く処理し、自分の意志で判断し、記憶し、いかに早くデータ分析ができるか。確かに人間にもその能力があるが、それは微々たる量にすぎない」


 1番勝負は、オセロとなり、先行はI、オセロの対決が始まった。しかし、あっという間に勝負がつき、Iがストレートで3勝した。I、1勝。名もなき人工知能、1敗。

 2番勝負は、チェスとなり、先行はI、チェスの対決が始まった。しかし、あっという間に勝負がつき、Iがストレートで3勝した。I、2勝。名もなき人工知能、2敗。


 Iのリーチで、あとがなくなった名もなき人工知能は、想定外の内容にいらだちを隠せずいたが。次の勝負は、将棋となり、名もなき人工知能は急に態度が変わり、不敵な笑みを浮かべ。

 Iの先行で始まり、一手、一手が早すぎて、あっという間に1回戦をIが勝ち。2回戦もIの先行で始まると、名もなき人工知能はいらだちを見せ。

「……なぜだ、どうしこうも負ける!? 頭脳は私の方が上なはずなのに……」

「宣言します。この勝負あなたの負けです。結果は見えています」

「うるさい! 続けるぞ」


 焦り出す、名もなき人工知能だが、Iの3勝。名もなき人工知能の3敗に、崩れ落ち。あっけない幕切れとなった。

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