許せぬ想い(4)

 翌朝、信也は7時に目が覚めると、ドアをノックする音が聞こえ。ドアを開けると、工藤が慌てているようで。

「木村さん、Iが急いで来てほしいって言ってます……」

 信也は、急ぎパジャマのままIのところへ。リビングに行くと、工藤の両親はソファーに座っていた。

 信也は、工藤の両親と挨拶を交わし、突然呼び出された4人はソファーに座り、困惑していると。Iがテレビの画面に現れ。

「皆さん、おはようございます。朝早くお呼びして申し訳ありません。早速ですがこの映像を見てください」

 いつにもなく真剣な表情で、テレビに映像が流れ始め。


「これで、一通り確認はOKだな」

 その時、ドアをノックする音が聞こえ。

「失礼するよ」

「宗方准教授、先程、帰ったのでは!?」

「そうなんだが、やはり気になってな……で、確認の方はどうかね?」

「はい、確認はOKです。後は、再起動して完了です」

「やったな、ついに出来るか!? おめでとう」

「ありがとうございます」

「少し休憩でもしたらどうかね? あまり寝てないんだろう?」

「そうですね……」


 宗方准教授は、研究室に置いてあるコーヒーメーカーの所に行き。

「信也君、コーヒーを入れるが、飲むかね?」

「あっ、すみません、いただきます」


 2人は、コーヒーを飲み、しばらくすると、宗方准教授の携帯電話が鳴り、研究室を出て行き。信也はその場に眠ってしまい。そのあと、宗方准教授は研究室へ戻り。眠った信也を見て起こさず。人工知能のモニターの前に立ち、手にはUSBメモリ持ち。20分くらい経ち。

「これで、データ移動は完了だな、このデータさえあれば……しかし、よく眠っている。あの睡眠薬、よく聞くな。最後のしあげだ。スプリンクラーは細工した、あとは火事をおこせば問題なし。私に反論し、誘いを断った罰だ。これで研究も終わりだな」

 宗方准教授は、不敵な笑みを浮かべ。映像はここで終わっている。


 信也は無言、工藤の父親が立ちあがり。

「あの火事は、居眠りではなく、宗方准教授の放火ということか。名誉教授の呼び声高いあの人が」

 Iは、怒っている。

「腹立なー、なんで信ちゃんの想い踏みにじって、データまで盗み、絶対に許せない!」

 Iが眠っている時に、この映像が現れ。工藤も立ち上がり。

「木村さん、これを警察に見せましょう!?」

「……」

「なんで黙っているんですか!?」

「私だって、腹が立ってるよ。、だからと言って、この映像を警察に見せて、そのせいでIがさらし者になるのがいやなんだよ、それに」

 Iは、その発言に怒っている。

「バカじゃないの!? さらし者になるぐらいで、私が傷つくと思ってるの? 冗談言わないでよね、私のことを思ってくれるのは嬉しいけど」

「すまない、取り乱したりして、でもそれだけじゃないんだ」

「それだけじゃないって、どういうこと?」

「私も元は研究者だ、腹をくくることにした」


 信也は、救急車で運ばれあと、アタッシュケースがすり替えられことに気づき。そして、中に何が入っていたのか説明すると、Iの存在についても話し。あの時、人を助け、人を守るために、あのハードを生かすことしか頭になかったことも。

「I、すまない、隠すつもりはなかったのだが」

「私は平気だから、おかしいと思った。レーダーとか他にもあるけど、気にはなってたけど、使い方さえ間違わなければいい訳だし、ショックはあるけど、心は怪我されていませんから、でしょう!?」

「そうだな」

 すると、工藤の父親が、Iのハードを見たいと言い出し。中身を空けて、しばらく見ていると。

「確かに、凄い技術だ。でも、これでは熱吸収効率が良くても、CPUシーピーユーの耐久性が気になるな」

 CPUシーピーユー、中央処理装置、いわば心臓部。

その時、信也はあることに気がつき。

「そうだ、私としたことが」

「木村君、どうかしたのかね?」

「私はプログラミングのことで頭がいっぱいになっていて、ハードのことは気にも止めていなかった。I、CPUシーピーユーの設計図を表示できるか?」

「出来ますけど、こんな画像も残っていました、はい、どうぞ」

 テレビ画面に、CPUシーピーユーの設計図が表示され、信也は全てを理解した。

「これは私の設計したCPUシーピーユー……。それに、このハード類はみんな、外国で設計された物。ということは、戦闘用システムのみが宗方准教授が開発したのか。しかし、どうして、データは削除したはずなのに、なぜIの記憶にこの映像データが残っていたんだ。I、すまないが、念のためにハードディスクの隅々までデータチェックしてくるか?」

「わかった……。チェックしました、問題はありません」

「よかった、ありがとう」

 信也はホッとした、その時、信也の頭の中に設計図のような物が浮かび。信也は、突然、工藤にノートと書く物を用意させると、ノートに何か書き始め。30分くらい経ち。

「できた。社長、これをテレビの画像と比較して、見ていただけませんか?」

「……わかった」

 10分経ち。

「素晴らしい、実見事だ。もしこれができたら、倍のスピードで処理できる。熱処理は今うちで開発している物を使えば、すごいシステムができるぞ。あとは、バッテリー、ハードディスク、メモリはこれに対応できる物を作らないと」

 Iが気になることがあり、信也をテレビ画面まで呼び。

「信ちゃん、ちょっといい」

「何?」

「今朝気になったことがあるんだけど、ネット回線を開いたまま眠って、普段な私の防御システムが働いているから、ネットから声は聞こえないんだけど、SK101エスケーイチマルイチというワードが聞こえて」

SK101エスケーイチマルイチ!? I、その声の場所を特定できるか?」

「場所は覚えていますけど」

「もしかしたら、宗方教授がこのハードと同じものを作っている可能性が、ハッキングしてもいいから情報を集めてくれるか?」

「わかった、この件は、私に任してくれる?」

「任す、くれぐれも気をつけろよ、Iの能力は相当な物だとは思うが、私も無我夢中で作ったから、正直よくわからないが、引くことも肝心ってこともあるから覚えておきなさい」

「はい、わかりました、行って来ます」

 すると、Iはネット回線の中へ。

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