許せぬ想い(2)

 工藤は、信也のことを話すと。工藤の父親は、驚きを隠しきれない。

「そんなことがあったのか。以前から、木村君には会って見たいと思っていた」

「わかった、そのこと言っとくね」

「そうか、よろしく言っといてくれ。社員の手続きはちゃんとしとくから、明日からでも研究所に行きなさい」

「お父さん、ありがとう」

「礼なら、Iさんだろう!?」

「I、ありがとう」

「礼ならいらないって、友達でしょう!?」

「……うん……」

 工藤は、目頭を熱くさせ、工藤の父親はIを見て。

「Iさん、娘のことこれからもよろしく頼む、ありがとう」

 工藤の父親は、深々と頭を下げた。

「わかりました、超特大船に乗ったつもりで、まかしといてください」

「超特大船か、そりゃいいな」

 工藤の父親は、笑い、会社へと向かった。その光景を見ていて、工藤の母親も嬉しそう。

「希、久しぶりだね、お父さんの笑った顔を見るの」

「そうだね」

 すると、Iが、ふと気になることを思い出し。

「希、6年前って、なんのこと?」

「えっ!? 知らないの!? 木村さんのことだよ、テレビやネットでも話題になって」

 Iは、急いでネットを確認すると。

「知らなかった、信ちゃんにあんな過去があったなんて、ショック……」

「私もお父さんも、当時、ニュースを見てショック受けたけど、でも、本人は多分、もう大丈夫だと思うよ」

「それなら、いいんだけど、なんか先を越されたような」

「先を越されって!?」

「なんでもありません」

「何、なんなのよ!?」

 工藤の母親は、その光景に嬉しそうにしていた、2人とも仲がいいのねと。工藤は信也に、メールで結果を報告した。

 すると、工藤の母親が突然何かを思いつき。

「木村さんが来るんだったら、希の就職祝いも兼ねて、食事会をしましょう」

「えっ!? 急にそんなのことを言っても、木村さんだって都合があるかもしれないでしょう!?」

「希、スマホ貸して!?」

「いいけど、まさか、電話をするの!?」

 工藤の母親は、娘の就職祝いと言うことで、信也を自宅に招待し、工藤は何か照れくさそうにしていると。

「お母さん、勝手なんだから」

「希、木村さんって好き嫌いとかは?」

「納豆がダメって言ってたよ、好きな物は、子供が好きそうなのだって」

「へー、よく知ってるのね?」

「この間、仕事の件でお礼にお弁当を持って行っただけだからね」

「何、向きになっての?」

「なってません」

「はい、はい、あとで買い出しに行くから手伝ってよ」

 工藤の母親は、別な部屋に行き。Iは、工藤をジッと見ている。

「ふーん、そうなんだ」

「まさか、Iまで勘違いしてない?」

「別に、私は負けないから」

「また、それ言う!?」

 工藤は、食事の準備に追われ、料理をしていると、母親も一応手伝っていた。

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