下
――ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
あれ? ここはどこだろう。私はもう死んだのかな。ここは天国かな? 地獄かな?
なんて事を考えてたら扉の向こうから白衣の人がやってきた。
「お目覚めですか? 『α部隊の天使』さん?」
「え」
それから白衣の人の話が始まった。なんでも私はあの後奇跡的にβ部隊に救出されたらしい。と、なるとあの人も!
「先生……あの人は? あの男の人は?」
「ああ、彼なら別室で治療中ですよ」
良かった! 生きてた!
「早く会いたいって感じですね。でももう少し辛抱して下さい。貴女は何とかギリギリで生きているので。ではまた、何かあればナースコールを」
白衣の人はそう言って扉の向こうに消えた。ああ、でも私、生きてるんだな。諦めてたのに。
――三週間後
「んんっ、はあっ、うわわっ」
「大丈夫かい? 天使様、リハビリもいいけど休まなきゃ」
私は今、リハビリをしている。そう、彼と一緒に。
「うん。でも早く良くなって貴方とお出かけしたいから」
「はは、言ってくれるねぇ」
あれ以来、私達は付き合っている。と、いっても実質夫婦みたいな感じだけど。
「それに早く良くならなきゃお腹の子のこともあるし」
そう、私は妊娠した。あの時重ねた身体は、命の限界の限界で重ねた身体は新たな命を生み出したのだ。
「俺も早く良くならねぇとな」
「落ち着いたら三人で一緒に暮らそう? 静かな場所で」
「ああ、そうだな」
私達α部隊の壊滅とそれに伴う生き残りの存在はあまり表には出来ないらしい。だから軍部は私達を秘匿する為に私達を死んだことにしたんだそうだ。
見殺しにしてもよさそうなものだけどα部隊が見たものについて軍部は知りたいらしく私達を生かしている、のかもしれない。
まぁ、とにかく、軍部からの恩給もあり、私達は人目につかない場所でこれからを過ごしていくことになるだろう。
……それでいいんだ。
「まぁ、なんだ。これからは『α部隊の天使』じゃなくて俺だけの天使になってくれよな、天使様」
「ふふ。いいよ。私だけの旦那様」
暖かな日差しが私達を包む。
死線 物書未満 @age890
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