第21話
「やり方は決まったな。 そしたらクラウディ、勝負といこうじゃねーか」
「……勝負?」
サニーの思わぬ提案だった。
「ターゲットは5人。 んでもって、報酬は1000万。 つーことは、1000万を5で割って1人200万だ。 もし俺が全部のデータを手に入れたら、俺に1000万。 その逆も然り。 どうだ、乗るか?」
報酬は山分けで無く、手柄を立てた人間に多く入るという方針。
クラウディは一瞬悩んだものの、すぐに闘志に火が付いた。
「面白ぇ、乗った!」
こうして、サニーはティファールと共に別行動を取ることになった。
クラウディが桜子の方を向く。
「っし、やっとお前の出番だ。 どうやってターゲットを探す?」
桜子は首を斜めに倒し、ひとしきり考えると、自分なりの解答を口にした。
「そう、ですね…… このスケジュールを見ると」
桜子はいつの間にか配られていたしおりを開き、パーティーのスケジュールを確認した。
「まず、9時に開会式が行われて、すぐに食事に移るみたいですね。 食事はダンスフロアに運ばれ、1時間後、撤去されてダンスが始まります」
ダンスが始まってしまうと、会場は暗くなり、ターゲットを目視し辛くなってしまう。
それに、ダンスを踊るのは主に永久機関大学の学生で、先生方は部屋に戻る可能性が高い、と指摘。
「食事中に先生に当たりを付けておいた方がいいかも知れませんね」
「当たり、か。 ターゲットには科学の先生なら白衣、みたいな特徴が考えられるって言ってたな。 残ってんのは、国語、数学、英語、あと…… 社会か」
「私が思うに、国語なら手に小説を、数学ならそろばんを持っていて、英語なら外国人。 社会だと…… 歴史の教科書に出てきそうな顔をしているかも知れないですね」
(小説ならまだしも、そろばんはあり得ねーだろ……)
と、思いつつも、何も思いつかない自分よりはマシか、と桜子の考えを採用することにした。
既に集まっている者の多くは学生で、先生のような年配の人間を見つけることができない。
2人は船内がどうなっているのか、ロビーに掲げられている案内図を見ることにした。
船内は吹き抜けており、1階がダンスフロアで、2階にはレストラン、カジノ、バー、3階には寝泊まりする部屋があり、屋上にはプールがあるようだ。
「時刻は8:55分、か」
腕時計を見やり、いよいよ開会式が始まる。
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