第18話
天裏に登り、パソコンにCDを入れてゲームを始めるクラウディ。
選んだゲームは、「文化系パラダイス」というこれまた学校を舞台にした乙女ゲームだ。
オヤジ曰く、このゲームは文化部に所属するキャラをターゲットに攻略することになるが、中には文化部の皮を被った猟奇的彼女が混ざっている為、それを引かないようクリアしなければならないとの事だ。
クラウディは、ピザポテトを傍らに準備し、ゲームの攻略を開始した。
「やーっとクリアしたぜ~……」
徹夜してようやくヒロインの1人を攻略。
横で死んだように眠るオヤジを揺り動かす。
「オヤジ、そろそろ先生が来ちまう。 退散しようぜ」
「……もうこんな時間だべか」
クリアデータをUSBメモリに保管し、それをポケットにしまうと、クラウディとオヤジは天裏から抜け出し、小森の残骸を担いで外へと出た。
校舎の裏手の人目につかない所へと来ると、グタリ、とした宇宙服を起こし、壁にもたせる。
オヤジが工具で切れた配線をつなぎ直し、頭を取り付けた。
「後はデータだべ」
「ほら」
クラウディがUSBメモリを渡し、オヤジがそれを頭の横の差し込み口に差す。
データのダウンロードが終わると、オヤジが聞いた。
「ところで、文化系パラダイスの一体誰を攻略したんだべ?」
「なんつったかな。 桜子って奴だった気がすっけど」
「……え、桜子? な、な、何でよりによって桜子にしただ!?」
「え……」
クラウディが桜子を選んだ理由は、単にビジュアルが可愛かったからであるが、実はその桜子こそ、引いてはならないハズレ。
メンヘラ属性持ちの猟奇的彼女であった。
宇宙服が動き出す。
オヤジが一目散にその場から逃げ出した。
「……」
クラウディが身構えると、宇宙服が話し始めた。
「初めまして。 桜子と申します。 不束(ふつか)者ですが、何卒、宜しくお願い致します」
礼儀正しくその場で正座し、お時期をする。
「あ、ああ」
(何だよ、すげぇ良い子じゃねーか)
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